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美容室の次回予約の取り方|自然にリピートが続く伝え方

林 佑馬監修:林 佑馬(株式会社VOC 代表取締役)
美容室の次回予約の取り方|自然にリピートが続く伝え方

次回予約をすすめたいけれど、押し売りに思われそうで切り出せない。そんな声をよく聞きます。次回予約はサロンの先々の売上を支える大切な仕組みですが、伝え方を間違えるとお客様にもスタッフにも負担になってしまいます。この記事では、美容室経営の視点から、なぜ次回予約が取れないのかという理由、自然にお客様が次の来店を決めたくなる伝え方、そして一部のスタッフだけでなくお店全体で続けられる仕組みづくりまでを整理しました。値引きに頼らず、お客様主体で次回予約が増えていくヒントになればうれしいです。

この記事を3行で解説

  • 次回予約はサロンの未来の売上を安定させ、新規集客への依存を下げる土台になる
  • 取れない原因の多くは押し売り感と伝え方にあり、タイミングと理由づけで大きく変わる
  • 値引きでなくお客様主体の設計と、全員が同じ品質で提案できる仕組みが定着のカギ

1. 美容室の次回予約とは?まず知っておきたい基本

要点:次回予約とは、帰り際に次の来店日時を決めておく仕組みです。目の前の一回ではなく、お客様と長く付き合う前提で売上を積み上げる第一歩になります。

次回予約は、目の前の一回の売上ではなく、お店の先々の売上を支える土台になります。来店日があらかじめ決まっていると、先の売上が読めるようになり、空いている日時を早めに把握して手を打てるからです。新規をいつも追い続ける経営は広告費もかさみ、人口が緩やかに減っていく時代には消耗しやすい構造があります。

この構造は数字でも裏づけられます。全国の美容所数は274,070施設(2024年3月末現在)で過去最多を更新しており〔厚生労働省「令和5年度衛生行政報告例」美容所数、2024年3月末現在、2024年10月29日公表。e-Stat 政府統計の総合窓口〕、新規のお客様を店舗同士で奪い合う競争は年々厳しくなっています。だからこそ、すでに来てくださっているお客様と長く付き合う設計のほうに、無理がありません。

この考え方は、株式会社VOCのマネジメント体系でも一貫しています。VOCノウハウ原本v1は「顧客満足度は顧客体験度に比例」し「お客様が購入されているのは技術や商品ではない」と定義しています(原本v1・ブランディング/UXの章)。次の来店を約束していただくことは、商品を売る行為ではなく、満足のいく体験を切らさずに続けるための約束だと捉えると、見え方が変わります。

Notion「DB_ナレッジ」の該当行(リピート改善/来店動機/設計)でも、再来は成り行きではなく「動機を設計する」対象として整理されています。次回予約は、一人のお客様と長く付き合うために動機を設計する、その入り口にあたる打ち手です。

2. 次回予約を増やすと得られるメリット

要点:次回予約はお客様には通いやすさを、サロンには売上の安定をもたらし、顧客生涯価値の来店頻度と継続年数を同時に押し上げます。

次回予約は、お客様とサロンの双方に価値があります。お客様にとっては、いつもの担当者に確実に見てもらえる、人気の時間帯を先に押さえられる、きれいな状態を保ちやすい、というメリットがあります。とくに人気の時間帯は埋まりやすく、行きたいときに予約が取れなかった経験をした方ほど、先に押さえられる安心を歓迎してくださいます。

サロン側にとっては、来店日が先まで見えることで売上の見通しが立ち、空いている枠に早めに手を打てます。新規ばかりを追いかける状態から抜け出せれば、広告費や集客の労力もやわらぎます。来店サイクルが整えば、スタッフのシフトや材料の準備も計画しやすくなります。

この効果は、顧客生涯価値という指標で見るとはっきりします。VOCノウハウ原本v1は顧客生涯価値の構成要素を「平均客単価 × 来店頻度 × 継続年数 × 利益率」と定義しています(原本v1・数値/指標の章)。次回予約はこのうち来店頻度を安定させ、結果として継続年数を伸ばす、二つの要素に同時に効きます。一回の単価を上げるより取り組みやすい場面も多い打ち手です。

3. 次回予約が取れないのはなぜか

要点:取れない原因の多くはお客様側ではなく、押し売りに見える伝え方、予定が読めない不安、スタッフ間のばらつきという設計の側にあります。

次回予約が取れない大きな原因は、伝え方が押し売りに見えてしまうことです。会計のときに突然すすめられると、お客様は売りつけられたように感じやすいからです。お店の数字のために言っている、という印象を持たれた時点で、前向きには受け取ってもらえません。

ここには、株式会社VOCが重視する考え方の違いが表れています。VOCノウハウ原本v1は、製品起点で短期売上を確保する「セリング思考」と、顧客ニーズ起点で顧客満足度から継続的成長を目指す「マーケティング思考」を対比し、「美容室で大切なのはマーケティング思考」だと述べています(原本v1・マーケティングの章)。さらに原本v1はマーケティングを「お客様に選ばれる手法」と定義し、「過度な売り込みなしに」選ばれる仕掛けづくりを考えるべきだとしています。次回予約が押し売りに転ぶのは、この視点がセリング寄りに傾いた瞬間です。

二つ目の原因は、お客様側に予定が読めない不安や、ネット予約でいつでも取れるという安心があることです。数ヶ月先の予定がまだ読めない、その場で決めると変更しづらそう、という不安があると、わざわざ先に取る必要を感じにくくなります。こうした心理は自然なもので、無理に押し切ろうとすると逆効果になります。変更できることを穏やかに伝えるだけでも、受け止め方は変わります。

三つ目は、スタッフによって取れる人と取れない人の差が出ることです。提案の場面では、何を言うかという言葉そのものより、表情や声のトーン、間合いといった表現の部分が伝わり方を左右します。最後のクロージングだけを練習しても、その手前の関係づくりができていないと届きません。差は個人の才能の問題ではなく、仕組みと練習で埋められる、という前提に立つことが出発点です。

4. 次回予約率を上げる具体的なコツ

要点:ベストタイミングは仕上がった瞬間。施術中に来店周期を共有し、理由とおすすめ日をセットで、お客様一人ひとりに合わせて提案します。

次回予約を切り出すなら、髪が一番きれいに仕上がった瞬間が最適です。満足度がもっとも高まっているそのときは、この状態を保ちたいという気持ちが自然に生まれているからです。会計時にゼロから切り出すより、ずっと受け入れてもらいやすくなります。仕上がりを一緒に喜びながら、この感じを次もキープしましょう、と続けると、提案というより今の満足の延長として伝わります。

会計でいきなり切り出さず、施術中に来店の周期をさりげなく共有しておくことも効果的です。このカラーなら次はこのくらい、この髪質ならこの頃に、という目安を先に伝えておくと、会計のときの次回予約が自然な流れになります。事前のひと言があるかないかで、唐突さがまるで違います。

提案の質を上げるには、接客のどの部分に手をかけるかを見極めることも大切です。VOCノウハウ原本v1は接客の4大価値を整理し、「基本価値・期待価値はマニュアル化して徹底。願望・予想外価値で施策を考える」としています(原本v1・教育の章)。次回予約の声かけは、決まった手順として徹底する基本の部分と、お客様一人ひとりに合わせて感動を生む部分を分けて考えると、押しつけになりません。

また、どうしますかと相手に丸投げせず、理由とおすすめの時期をこちらから添えます。選択肢だけを渡されると、人は決めるのが負担になり、また今度でいいとなりやすいからです。いまのカラーがきれいに見えるのはこのくらいまでなので、その前のこの週あたりはいかがでしょう、と一歩踏み込むと、理由とおすすめ日がセットになり、押しつけではなく提案として届きます。

そして、提案はお客様一人ひとりに合わせて変えるのが基本です。来店頻度もライフスタイルも髪の悩みも人によって違い、同じ言葉が全員に響くわけではありません。忙しい方には効率の良さを、きれいさに敏感な方には旬の提案を、と軸を変えると刺さり方が変わります。商品やメニューの説明ではなく、その人が「どうなりたいか」という未来の話をするほうが、人の気持ちは動きやすいものです。

5. そのまま使える次回予約のトーク例

要点:来店周期を伝えるトークと会計前のひと言を、自店の言葉に置き換えて使います。根拠を髪の状態に置くのがコツです。

施術中に来店周期を伝えるなら、髪の状態と結びつけて話すのが自然です。「今日のカラー、根元が伸びてくると色ムラが気になりやすいので、だいたい6週間くらいで一度メンテナンスすると、いつもきれいな状態を保てますよ」。根拠が髪の状態にあると、お店都合ではなくお客様のための話として受け取ってもらえます。数字だけで何ヶ月ごと、と言うより説得力が出ます。

会計前のひと言なら、仕上がりの満足に乗せて次につなげます。「せっかくきれいになったので、この状態をキープするなら次はこのあたりがおすすめです。もしご都合が合えば、人気の時間帯なので先にお席だけ押さえておきましょうか。予定が変わったら遠慮なく変更できますよ」。おすすめ日と、変更できる安心を一緒に伝えるのがポイントです。

いずれのトークも、そのまま使うのではなく自店の言葉に置き換えてください。大切なのは、根拠を髪の状態に置くこと、理由とおすすめ日をセットにすること、変更できる前提を添えることの三つです。この三点が入っていれば、言い回しは各サロンらしさで構いません。

6. 次回予約を店舗の仕組みにする

要点:一部の人の技ではなく、全員が同じ品質でできる標準化と、次回予約率という数字で運用することが定着のカギです。

次回予約を続く力にするには、一部のスタッフの技で終わらせず、お店全体の仕組みにすることが欠かせません。取れる人だけに頼っていると、その人が休んだり抜けたりしたときに数字が崩れてしまうからです。Notion「DB_ナレッジ」の教育設計の行では「10人中8人ができる標準化」を目安に掲げています。次回予約も、上手な一人の再現ではなく、多くのスタッフが同じ品質で提案できる状態を目標にします。

そのためには、いつ・どんな言葉で伝えるかの型を用意し、施術中の共有から会計前のひと言までの流れを決めておきます。あわせて、朝礼やミーティングで良かった提案を共有し、うまくいった声かけをお店の財産として貯めていくと、全員の底上げにつながります。株式会社VOCのマーケティング体系QSRPでも希少価値(Rarity)が一つの軸に位置づけられており、人気の時間帯を先に確保できることは、お客様に提供できる価値の一つとして設計できます。

運用は感覚ではなく数字で見ます。次回予約率(会計したお客様のうち次回予約を入れた割合)を記録し、店舗やスタッフごとの推移を追うと、どこに手を打つべきかが見えてきます。前述の顧客生涯価値の考え方に立てば、次回予約率の改善は来店頻度と継続年数の底上げとして、経営数字に返ってきます。

次回予約率の測り方・改善チェックリスト

要点:まず次回予約率を数式で測り、下の5項目で提案の質を点検します。数字と現場を同じ物差しで見ることが、定着への近道です。

測り方

  • 次回予約率(%)= 次回予約を入れた会計組数 ÷ 会計した総組数 × 100
  • この率が上がると、顧客生涯価値「平均客単価 × 来店頻度 × 継続年数 × 利益率」(原本v1・数値/指標の章)のうち、来店頻度と継続年数が底上げされます。

現場チェック(5項目)

  1. 仕上がった瞬間に声をかけているか(満足度がもっとも高まるタイミングか)
  2. 理由(髪の状態)とおすすめ日をセットで伝えているか
  3. 変更できる前提を添え、予定が読めない不安に配慮しているか
  4. 会計前に、施術中の来店周期の共有を済ませているか
  5. 基本価値・期待価値は型として全員が徹底し、願望・予想外価値はお客様一人ひとりに合わせているか(原本v1・接客の4大価値「基本価値・期待価値はマニュアル化して徹底。願望・予想外価値で施策を考える」)

次回予約はリピートづくりの一手段です。指標としてのリピート率の全体像は美容室のリピート率を上げる方法で、来店前の満足を左右する土台は美容室のカウンセリングで詳しく解説しています。次回予約や単価、採用、組織まで含めた経営の全体像は美容室経営の教科書(全体像)にまとめています。


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まとめ

次回予約は、サロンの未来の売上を安定させ、新規集客への依存を下げる土台です。取れない原因の多くはお客様ではなく、押し売りに見える伝え方や、予定が読めない不安、スタッフ間のばらつきといった設計の側にあります。仕上がった瞬間というベストタイミングで、理由とおすすめ日をセットにし、変更できる安心を添えて、お客様一人ひとりに合わせて提案する。そのうえで、全員が同じ品質でできる標準化と、次回予約率という数字での運用に落とし込む。値引きに頼らず、お客様主体で次回予約が積み上がる仕組みを、今日の一組から始めてみてください。

よくある質問

Q. 次回予約は押し売りになりませんか?
会計時にいきなり切り出すと押し売りに感じられやすくなります。仕上がった瞬間に、髪の状態を根拠にして、変更できる前提を添えて伝えると、提案として受け取ってもらいやすくなります。お店の数字のためではなく、お客様のきれいを保つための提案という立場を崩さないことが大切です。

Q. 次回予約率はどのくらいを目安にすればよいですか?
目安の数値は客層やメニュー構成によって大きく異なるため、他店の平均値を追うより、自店の現状を記録して推移を改善していく考え方をおすすめします。まずは会計したお客様のうち次回予約を入れた割合を測り、スタッフや時期ごとの差を把握するところから始めるとよいでしょう。

Q. ネット予約中心のお店でも次回予約は増やせますか?
増やせます。施術中に来店周期を共有しておき、次回のおすすめ時期を具体的に伝えておけば、その場で押さえなくても、お客様がネットで予約する際の判断材料になります。人気の時間帯は埋まりやすいことを穏やかに伝えるのも有効です。

免責事項:本記事は美容室経営の一般的な考え方を、株式会社VOCのノウハウ体系にもとづいて解説したものです。効果を保証するものではなく、実施は各店舗の状況に応じてご判断ください。労務・税務・契約など個別の判断が必要な場合は、社会保険労務士・税理士・弁護士など専門家にご相談ください。

更新履歴:2026年7月24日 100点の型v2へ全面改稿(監修表示・目次・各見出しの直答・VOCノウハウ原本v1の逐語引用・一次ソース・内部リンク・免責を追加)。あわせて出典に公表日を追記し、次回予約率の測り方・改善チェックリストを追加/2026年7月10日 公開

林 佑馬
この記事の監修者

林 佑馬株式会社VOC 代表取締役

美容室マネジメントの専門家。理念・組織・教育・売上を一枚の設計図として描くマネジメント理論を提唱し、コンサルティング・スクール・編集メディアを運営。自社テストサロン「monet」は全店3ヶ月以内に黒字・半年以内に満席の実装実績を持つ。

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