文・構成/SALOG編集部(株式会社VOC) 公開:2026年8月9日/最終更新:2026年8月9日 運営者情報・編集方針はこちら
2026年10月の最低賃金改定に向けた動きが本格化しています。2026年8月5日、東京地方最低賃金審議会は東京都の最低賃金を現在の時給1,226円から54円引き上げ、1,280円とするよう答申しました。パートやアシスタント、受付を雇うサロンにとっては、10月からの人件費に直結する話です。この記事では、いま分かっている一次情報を整理しつつ、10月までに美容室が準備しておきたいことを、落ち着いて確認していきます。
- 東京都は時給1,226円→1,280円(+54円)への引き上げを2026年8月5日に答申。発効は10月の見込み(現時点は答申段階)。
- 全国の目安は中央最低賃金審議会がAランク+54円・B/Cランク+56円と答申(2026年7月28日)。各地の実額はこれから正式決定。
- サロンは10月に向けて、時給の底上げ分の把握・シフト・価格や生産性での吸収・助成金の確認を早めに進めておくと安心です。
1. 東京の最低賃金が時給1,280円へ(+54円)
要点:東京地方最低賃金審議会は2026年8月5日、東京都の最低賃金を現行1,226円から54円引き上げ1,280円とするよう答申しました。発効は10月の見込みで、現時点は答申の段階です。
まず押さえておきたいのは、今回の1,280円という金額が「答申」という段階のものだということです。答申は審議会が労働局長に対して出す意見で、このあと各都道府県労働局長が正式に決定し、官報に公示されてから発効します。引き上げ幅の54円は、国が示した目安どおりの水準です。
東京都の最低賃金の詳しい取り扱いは、東京労働局の最低賃金に関するページで公表されます〔東京労働局(東京地方最低賃金審議会)「最低賃金に関すること」/答申日 2026年8月5日〕。正式決定・公示のタイミングでは、必ず最新の公表を確認してください。
2. 全国の目安は+54〜56円|中央最低賃金審議会の答申
要点:全国の引き上げ目安は、中央最低賃金審議会がAランク+54円、B・Cランク+56円と答申しています(2026年7月28日)。各都道府県はこの目安を参考に、地域ごとの実額を答申していきます。
最低賃金は、まず国の中央最低賃金審議会が「目安」を示し、それを参考に各都道府県の地方審議会が実際の金額を決める、という二段構えで動きます。2026年度(令和8年度)の目安は、ランク別にAランク54円、Bランク56円、Cランク56円の引き上げとされました〔厚生労働省「令和8年度地域別最低賃金額改定の目安について」/2026年7月28日〕。目安の詳細は厚生労働省の公表資料で確認できます。
この目安を受けて、東京をはじめ各地の地方審議会が8月にかけて順次答申を出している、という流れです。地域によっては目安どおり、あるいは目安を上回る金額を答申するケースもあり、最終的な金額は各労働局の正式決定を待つことになります。全国の目安額(Aランク+54円など)の背景については、最低賃金の目安1176円へ|2026年度改定と美容室の対策でも整理しています。
3. いつから変わる?答申から施行までの流れ
要点:答申のあと、各労働局長が正式決定・官報公示を経て、例年10月ごろに発効します。2026年度も10月からの適用が見込まれています。
「1,280円はいつから?」という点ですが、答申がそのまますぐ効力を持つわけではありません。答申→各労働局長による決定→官報公示という手順を踏み、例年は10月上旬に発効しています。今回も10月からの適用が見込まれる状況です。ただし、正式な発効日は都道府県ごとに公示で確定するため、給与計算に反映する前に、お店の所在地の労働局の公示を確認しておくのが確実です。
4. 美容室への影響|人件費はどう動くか
要点:時給が最低賃金に近いスタッフを抱えるサロンほど、10月から人件費が上がります。単純計算でも、時給+54円は労働時間に応じてまとまった金額になります。
影響が大きいのは、アシスタント・受付・パート・アルバイトなど、時給が最低賃金に近いスタッフを雇っているお店です。たとえば時給1,226円のスタッフが月120時間働く場合、時給が54円上がると単純計算で月あたり約6,500円ほど(54円×120時間)人件費が増える計算になります。あくまで単純な試算ですが、複数名が対象になれば、その分だけ月々のコストは積み上がっていきます。
さらに、最低賃金が上がると、その少し上の時給で働くスタッフとのバランスも見直したくなるものです。新人だけを上げると、頑張ってきた先輩の時給と差が縮まってしまう、というのはよくある悩みです。給与の決め方そのものを整理したい場合は、美容室の給与の決め方|辞めない店をつくる設計の順番もあわせて確認してみてください。
5. 10月までに美容室がやっておきたいこと
要点:対象スタッフの洗い出し、増加額の試算、価格・生産性・シフトでの吸収、助成金の確認。この4つを早めに進めておくと、10月に慌てずに済みます。
やることをシンプルに整理すると、次の順番がおすすめです。まず、いまの時給が新しい最低賃金を下回るスタッフがいないかを洗い出します。次に、その人たちの時給を引き上げたときの増加額をざっくり試算します。そのうえで、増えた分をどう吸収するか——メニュー単価の見直し、店販や次回予約による客単価の底上げ、シフトの組み方の工夫——を検討していきます。
あわせて確認しておきたいのが助成金です。事業場内で最低賃金を一定額以上引き上げ、設備投資などで生産性を高めた中小企業を支援する業務改善助成金〔厚生労働省〕のような制度もあります。要件や金額は年度や公募状況で変わるため、活用を考える場合は最新の公募要領を確認し、必要に応じて社会保険労務士など専門家に相談すると安心です。コスト・制度・集客まわりの最新動向は、美容室経営に効く業界動向2026|コスト・制度・集客の最新まとめでも継続的に取り上げています。
6. まとめ|要点と重要ポイント
東京都は2026年8月5日、最低賃金を時給1,226円から1,280円へ54円引き上げる答申を出しました。全国の目安はAランク+54円・B/Cランク+56円で、各地の実額はこれから正式決定・公示され、例年どおりなら10月に発効します。サロンにとっては、対象スタッフの把握と増加額の試算、価格・生産性・シフトでの吸収、助成金の確認を早めに進めておくことが、10月に慌てないためのポイントです。
- 東京:時給1,226円→1,280円(+54円)を2026年8月5日に答申。発効は10月見込み(答申段階)。
- 全国の目安:Aランク+54円、B・Cランク+56円(中央最低賃金審議会・2026年7月28日)。
- 実際の適用日は各労働局の公示で確定。給与反映前に所在地の公示を確認。
- 10月までに「対象者の洗い出し→増加額の試算→吸収策→助成金確認」を進めておく。
7. よくある質問(Q&A)
Q1. 東京の1,280円はもう確定していますか?
A. 現時点(2026年8月)は審議会の答申の段階です。各労働局長の正式決定と官報公示を経て発効します。最終的な金額と発効日は公示で確認してください。
Q2. いつから新しい時給で払えばいいですか?
A. 例年は10月上旬に発効します。2026年度も10月からの適用が見込まれますが、正式な発効日は都道府県ごとの公示で決まります。発効日以降の労働分から新しい最低賃金以上で支払う必要があります。
Q3. 人件費の増加を抑える方法はありますか?
A. 単価や客単価の見直し、生産性向上、シフトの最適化などで吸収するのが基本です。設備投資を伴う場合は業務改善助成金などの制度もあります。具体的な要件は最新の公募要領や専門家への相談で確認しましょう。
※本記事は2026年8月9日時点の公表情報にもとづく一般的な情報提供です。最低賃金の金額・発効日は答申段階のものを含み、正式決定・官報公示で確定します。実際の給与計算・労務対応にあたっては、お店の所在地の労働局の公表内容を確認のうえ、個別の判断は社会保険労務士など専門家にご相談ください。
更新履歴:2026年8月9日 公開。
