店販が動かないとき、まず知りたいのは「よそはどのくらい売れているのか」だと思います。ホットペッパービューティーアカデミーが2026年9月18日に公開した研究員コラムに、その答えになる数字が載っていました。美容室利用者の店販購入率は全国平均が31.7%。都道府県別の1位は香川県の42.5%です。上位3県はいずれも地方でしたが、4位には東京都が入っています。地方だから売れる、という単純な話ではありませんでした。自店の数字をどこと比べ、何とセットで見ればいいのかを整理します。
この記事を3行で解説
- 美容室利用者の店販購入率は全国平均31.7%。都道府県別では香川県42.5%、石川県42.0%、山形県40.3%、東京都37.2%、山口県36.8%の順でした〔リクルート ホットペッパービューティーアカデミー/研究員コラム「サロンの使い方は都道府県でこんなに違う!? 石川県が客単価全国1位の理由は?」/2026年9月18日〕。
- 美容室1回あたりの平均利用金額が全国1位の石川県は9,477円(全国平均8,530円)。店販購入率42.0%・カラー利用率59.1%・平均利用時間102分と、いずれも全国平均を上回っていました。
- この店販購入率は過去に購入したことがある人も含む調査で、サロンのレジで出す購入率とは定義が違います。そのまま自店の目標値に置き換えないことが前提になります。
1. 店販購入率の全国平均は31.7%、1位は香川県42.5%
要点:美容室利用者の店販購入率は全国平均31.7%。1位は香川県42.5%、2位石川県42.0%、3位山形県40.3%、4位東京都37.2%、5位山口県36.8%でした〔リクルート ホットペッパービューティーアカデミー/研究員コラム/2026年9月18日〕。
これから店販購入率の都道府県ランキングで何が起きているのかについて解説します。
- 1-1 全国平均31.7%に対して上位は40%台
- 1-2 上位3県は地方、ただし4位は東京都
- 1-3 この数字が測っているものを先に確認する
1-1 全国平均31.7%に対して上位は40%台
美容室利用者のうち店販商品を購入した人の割合は、全国平均が31.7%でした。都道府県別の上位5県は次のとおりです〔リクルート ホットペッパービューティーアカデミー/研究員コラム「サロンの使い方は都道府県でこんなに違う!? 石川県が客単価全国1位の理由は?」/2026年9月18日公表〕。
| 順位 | 都道府県 | 店販購入率 |
|---|---|---|
| 1位 | 香川県 | 42.5% |
| 2位 | 石川県 | 42.0% |
| 3位 | 山形県 | 40.3% |
| 4位 | 東京都 | 37.2% |
| 5位 | 山口県 | 36.8% |
| — | 全国平均 | 31.7% |
1位と全国平均の差は10.8ポイントあります。一方で1位から5位までは5.7ポイントの中に収まっていて、上位はかなり団子状態です。つまり、ずば抜けた1県があるというより、条件がそろった地域がまとまって40%前後に乗っている、という形をしています。
1-2 上位3県は地方、ただし4位は東京都
上位3県の香川・石川・山形はいずれもローカルエリアでした。コラムでも、大都市圏のように選択肢が分散している環境と比べると、地域に根付いた美容サロンは施術を受ける場所にとどまらず、美容の相談先として機能していると考えられる、と説明されています〔同コラム/2026年9月18日〕。
ただし4位は東京都の37.2%で、全国平均を5.5ポイント上回っています。都市部だから店販が売れない、という読み方はこのデータからはできません。地方に強い県が集まっている一方で、都市でも平均より上に出ている地域がある、というのが実際の姿です。
自店の購入率が低いとき、立地や商圏を理由にするのは早いということになります。同じ東京都の中でも、平均を上回る店と下回る店の両方があるはずだからです。
1-3 この数字が測っているものを先に確認する
この店販購入率には、はっきりした定義の注記が付いています。対象は美容室の過去1年利用者で、「ここ1年間で購入した」と「ここ1年間の購入はないが、過去に購入したことがある」を合わせた割合(単一回答)です〔同コラム掲載の図表注記/2026年9月18日〕。
ここが重要です。過去に一度でも買ったことがある人が分子に入っているので、サロンのレジで「今月店販を買った人数 ÷ 来店人数」で出す購入率より高く出ます。全国平均31.7%と自店の月次購入率を直接並べると、実力より低く見えてしまいます。
もうひとつ、調査対象は15〜49歳の女性です。男性客やシニア層の店販行動は入っていません。業界データを経営判断につなげるときの前提の置き方は美容室経営に効く業界動向2026にも整理しています。
2. 客単価が全国1位の石川県は4つの数字すべてが平均超え
要点:美容室1回あたりの平均利用金額が全国1位の石川県は9,477円(全国平均8,530円)。店販購入率・カラー利用率・平均利用時間も、いずれも全国平均を上回っていました。
これから客単価1位の県で何がそろっていたのかについて解説します。
- 2-1 4つの指標が全国平均を上回っている
- 2-2 突出ではなく積み上げで1位になっている
- 2-3 背景にある共働きの多さ
2-1 4つの指標が全国平均を上回っている
コラムは石川県について、4つの指標を全国平均と並べて示しています〔リクルート ホットペッパービューティーアカデミー/研究員コラム「サロンの使い方は都道府県でこんなに違う!? 石川県が客単価全国1位の理由は?」/2026年9月18日公表〕。
| 指標 | 石川県 | 全国順位 | 全国平均 |
|---|---|---|---|
| 1回あたり利用金額 | 9,477円 | 1位 | 8,530円 |
| 店販購入率 | 42.0% | 2位 | 31.7% |
| カラー利用率 | 59.1% | 2位 | 48.9% |
| 平均利用時間 | 102分 | 3位 | 93分 |
金額の差は947円です。数字だけ見ると1,000円弱ですが、来店客数が月400人のサロンなら月38万円ほどの違いになります。日々の単価差が積み上がると規模が出る、という当たり前のことがここに出ています。
2-2 突出ではなく積み上げで1位になっている
注目したいのは、石川県が1位を取っている指標が客単価だけだという点です。店販購入率とカラー利用率は2位、平均利用時間は3位。どれも全国トップではないのに、合計すると客単価で全国1位になっています。
客単価を上げようとすると、値上げか店販強化かという二択で考えがちです。ただ石川県の数字が示しているのは、どれか1つを突き抜けさせた結果ではなく、4つが同時に平均を少しずつ上回った結果でした。カラーをやる人が多いから滞在時間が長く、長く座っているから髪の状態の話ができて、その延長で商品が動く。順番としてはそう読むほうが自然です。
店販を単体の施策として切り出すのではなく、メニュー構成と滞在時間とセットで設計するという考え方は、押し売りせずに客単価を伸ばす仕組みの作り方でも扱っています。
2-3 背景にある共働きの多さ
コラムは地域特性のひとつとして、石川県の女性の有業率と夫婦共働き世帯の割合を挙げています。石川県の公表資料によると、女性の有業率は54.9%で全国第4位、夫婦共働き世帯の割合は56.0%で全国第4位です〔石川県 県庁デジタル推進課統計情報室/令和4年就業構造基本調査結果の概要(石川県版)/2024年3月4日公表〕。
働く女性や共働き世帯が多い地域だからこそ、身だしなみへの意識が高く、サロンと自宅ケアへの投資が高いとも考えられる、というのがコラムの見立てです。
これは石川県だけの話ではありません。自店の商圏に共働き世帯が多いなら、頻繁に通うより一度でまとめて整えたいというニーズがある可能性があります。回数を増やす方向ではなく、1回の密度を上げる方向に寄せたほうが合っている商圏もある、ということです。
3. 東京都で全国1位だったのは店販ではなくヘッドスパ
要点:東京都は美容室利用者のヘッドスパ利用率16.3%が全国1位(全国平均10.8%)。ネイルサロン22.7%、リラクゼーションサロン21.0%の利用率も全国1位でした。
これから都市部と地方で伸びている場所の違いについて解説します。
- 3-1 東京はヘッドスパ・ネイル・リラクゼーションが全国1位
- 3-2 美容室の利用率そのものは三重県が1位
- 3-3 商圏によって伸ばす場所が違う
3-1 東京はヘッドスパ・ネイル・リラクゼーションが全国1位
東京都では、美容室利用者におけるヘッドスパ利用率が16.3%で全国1位でした。ネイルサロン利用率22.7%、リラクゼーションサロン利用率21.0%もいずれも全国1位です〔リクルート ホットペッパービューティーアカデミー/研究員コラム「サロンの使い方は都道府県でこんなに違う!? 石川県が客単価全国1位の理由は?」/2026年9月18日公表〕。
| 指標 | 東京都(全国1位) | 全国平均 |
|---|---|---|
| ヘッドスパ利用率(美容室利用者) | 16.3% | 10.8% |
| ネイルサロン利用率 | 22.7% | 14.5% |
| リラクゼーションサロン利用率 | 21.0% | 15.0% |
コラムでは、東京にはさまざまな業態のサロンが集積していて、仕事帰りや買い物の途中など日常の動線の中で利用しやすい環境も整っているため、美容室へ行くという一つの行動だけでなく、ネイルやリラクゼーション、ヘッドスパなどを必要に応じて取り入れるスタイルが広がっている可能性がある、と説明されています。
3-2 美容室の利用率そのものは三重県が1位
美容室の過去1年利用率が全国1位だったのは三重県で84.5%、全国平均は76.3%でした。三重県はエステサロン(フェイシャル、ボディ/痩身)15.5%、エステサロン(脱毛)16.1%、アイビューティーサロン25.3%も全国1位です〔同コラム/2026年9月18日〕。
東京が1位を取ったのは美容室の利用率ではなく、美容室以外のサロンと、美容室の中の追加メニューのほうでした。母数の大きさと利用率の高さは別物だということになります。
3-3 商圏によって伸ばす場所が違う
ここまでの数字を並べると、店販で上位に入る県と、追加メニューで上位に入る県が分かれていることが見えてきます。東京都は店販購入率でも4位に入っているので、どちらか一方しかできないわけではありません。ただ、全国1位を取っているのがヘッドスパやネイルである以上、東京の利用者はサロンでの時間そのものにお金を払う傾向が相対的に強い、とは言えそうです。
自店で先に伸ばすべきなのが店販なのか、滞在時間を使うメニューなのかは、商圏の使われ方によって変わります。全国平均との差が大きいほうから手をつけると、余計な遠回りが減ります。
4. 自店の店販購入率をこの数字と比べる手順
要点:全国平均は31.7%ですが定義が違うため、そのまま自店の月次購入率と並べません。定義をそろえてから、カラー利用率と滞在時間と一緒に見ます。
これから自店の数字をどう並べて見るかについて解説します。
- 4-1 定義をそろえてから比べる
- 4-2 商品を増やす前に提案の接点を数える
- 4-3 カラー利用率と滞在時間を並べて見る
4-1 定義をそろえてから比べる
調査の31.7%は、過去に購入したことがある人まで含んだ割合です。自店で同じ土俵に乗せるなら、直近1か月ではなく、たとえば過去1年の来店客のうち一度でも店販を買ったことがある人の割合を出す必要があります。
そこまで揃えるのが難しければ、全国平均との比較は参考程度にとどめて、自店の中の推移とスタッフ別の差を見るほうが実用的です。月単位ではぶれるので、3か月分をまとめて出します。ひとりだけ購入率が高いなら、その人がやっていることが再現できる中身かどうかを確かめるほうが、新商品を入れるより早いことがあります。
4-2 商品を増やす前に提案の接点を数える
購入率が思ったより低いとき、最初に疑うべきは品揃えではありません。石川県の数字が示していたのは、カラーと滞在時間と店販が同時に平均を上回っているという形でした。つまり、施術中に髪の状態の話をした回数のほうが先に効いてきます。
1日の来店客のうち、ホームケアの話をした人が何人いたかを1週間だけ数えてみると、購入率の低さが提案の量で説明できるのか、提案の質で説明できるのかが分かれます。数えてみて提案自体が少なかったなら、伸ばす余地は商品ではなくオペレーションの側にあります。具体的な進め方は売り込まずに選ばれる店販の提案のコツにまとめています。
4-3 カラー利用率と滞在時間を並べて見る
石川県で全国平均を上回っていたのは、客単価・店販購入率・カラー利用率・平均利用時間の4つでした。自店でも同じ4つを並べると、店販だけが弱いのか、そもそも滞在時間が短くて話す時間がないのかが切り分けられます。
全国平均の滞在時間は93分、カラー利用率は48.9%です。カラー比率が低く滞在時間も短い店で店販の目標だけを上げると、現場は無理な声かけに走ります。数字の順番としては、メニュー構成と滞在時間が先、店販はその結果として動く、という並びのほうが実態に合っています。
5. まとめ
要点:店販購入率の全国平均は31.7%。上位県が強いのは商品力ではなく、施術から自宅ケアまでが一続きになっている使われ方でした。
美容室利用者の店販購入率は全国平均が31.7%で、都道府県別では香川県42.5%、石川県42.0%、山形県40.3%、東京都37.2%、山口県36.8%の順でした。上位3県は地方ですが4位に東京都が入っており、都市部だから店販が弱いとは言えません。美容室1回あたりの平均利用金額が全国1位の石川県は9,477円(全国平均8,530円)で、店販購入率42.0%・カラー利用率59.1%・平均利用時間102分のいずれも全国平均を上回っていました。どれか1つが突出したのではなく、4つが同時に平均を上回った結果として客単価1位になっています。自店で使うときは、この購入率が過去の購入経験も含む定義であることを踏まえ、定義をそろえてから比べるのが前提です。
この記事の重要ポイント
- 店販購入率の全国平均は31.7%。1位は香川県42.5%で、全国平均との差は10.8ポイント。
- 上位3県は香川・石川・山形と地方だが、4位は東京都37.2%で全国平均を5.5ポイント上回る。
- 客単価全国1位の石川県は9,477円(全国平均8,530円)。店販・カラー・滞在時間の3つも全国平均超えで、突出ではなく積み上げの結果。
- この店販購入率は「過去に購入したことがある」人も含む単一回答。サロンのレジで出す月次の購入率とは定義が違う。
- 自店では店販単体ではなく、客単価・店販購入率・カラー利用率・平均滞在時間の4つを並べて弱点を切り分ける。
6. よくある質問
Q1. 美容室の店販購入率の全国平均はいくつですか。
31.7%です。都道府県別の1位は香川県42.5%、2位石川県42.0%、3位山形県40.3%、4位東京都37.2%、5位山口県36.8%でした〔リクルート ホットペッパービューティーアカデミー/研究員コラム「サロンの使い方は都道府県でこんなに違う!? 石川県が客単価全国1位の理由は?」/2026年9月18日公表〕。ただしこの割合は、美容室の過去1年利用者のうち「ここ1年間で購入した」と「ここ1年間の購入はないが、過去に購入したことがある」を合わせた単一回答なので、サロンのレジで出す月次の購入率より高く出ます。
Q2. 客単価9,477円というのは、サロンのレジで出る客単価と同じ意味ですか。
同じではありません。この数字は美容室1回あたりの平均利用金額として利用者側が回答したもので、調査対象は15〜49歳の女性、実数回答から外れ値を除いた集計です。自店のPOSで集計する客単価は男性客やそれ以外の年代も含むため、定義が異なります。全国平均8,530円との比較も、対象の違いを踏まえた参考値として扱ってください。
Q3. 都市部のサロンは店販が弱いということですか。
そうは読めません。東京都の店販購入率は37.2%で、全国平均31.7%を5.5ポイント上回る全国4位です。今回のデータが示しているのは、上位3県が地方だったという事実と、東京では美容室以外のサロンやヘッドスパなどの追加メニューの利用率が全国1位だったという事実で、都市部の店販が弱いという結論にはなりません。都市部で店販を伸ばすなら、次の来店までの接点を設計することが先になります。来店周期を短くする設計と合わせて考えると整理しやすくなります。
ご利用にあたって
本記事は2026年9月21日時点で公表されている情報をもとにした一般的な情報提供であり、個別の経営判断に関する助言ではありません。紹介した調査は全国の15〜49歳女性を対象とした利用者アンケートにもとづく都道府県別の集計であり、サロン側のPOSデータや売上実績を集計したものではありません。男性客やそれ以外の年代の利用実態は含まれていません。
店販購入率は「ここ1年間で購入した」と「ここ1年間の購入はないが、過去に購入したことがある」を合わせた単一回答の割合で、サロンが月次で算出する購入率とは分子の定義が異なります。1回あたり平均利用金額は実数回答から外れ値を除いた集計です。いずれも利用者の自己申告にもとづく回答のため、数値をそのまま自店の目標値に置き換えず、傾向を読む材料としてご利用ください。
更新履歴
2026年9月21日:初版公開(株式会社リクルート ホットペッパービューティーアカデミー 研究員コラム「サロンの使い方は都道府県でこんなに違う!? 石川県が客単価全国1位の理由は?」/2026年9月18日公表、および同コラムが引用する「【都道府県別】15〜49歳女性の美容意識・実態調査2026」、石川県「令和4年就業構造基本調査結果の概要(石川県版)」/2024年3月4日公表 をもとに作成)


