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美容師の離職率2026|美容室が属する産業は離職超過に反転

美容師の離職率2026|美容室が属する産業は離職超過に反転

スタッフが辞めるたびに「うちだけがうまくいっていないのでは」と落ち込む。美容室の経営をしていると、一度はそう感じる場面があると思います。ただ、その感覚が業界全体の傾向なのか、自店だけの問題なのかは、感覚のままだと切り分けられません。2026年8月31日、厚生労働省が令和7(2025)年の雇用動向調査の結果を公表しました。ここには、美容室が属する産業で人がどれだけ入り、どれだけ出ていったかが数字で載っています。この記事では、その数字を美容室の現場の言葉に翻訳して、自店の採用・定着の判断にどう使えるかまで整理します。

この記事を3行で解説

  • 美容室が属する「生活関連サービス業,娯楽業」の一般労働者は、入職率15.0%に対し離職率16.1%で、1.1ポイントの離職超過。産業計の一般労働者は0.6ポイントの入職超過なので、向きが逆になっている。
  • 前年(令和6年)の同産業の一般労働者は0.1ポイントの入職超過だったので、令和7年に符号が反転したことになる。主因は離職の増加ではなく、入職率が17.0%から15.0%へ2.0ポイント下がったこと。
  • 一方でパートタイムは入職率29.3%・離職率25.1%で4.2ポイントの入職超過。常勤の入職が細り、頭数はパートで埋まっている構図が読み取れる。

1. 令和7年雇用動向調査で分かったこと

要点:全体では入職が離職を1.0ポイント上回った一方、美容室が属する産業の一般労働者は離職が入職を1.1ポイント上回り、前年の入職超過から符号が反転しました。

これから令和7年雇用動向調査で分かったことについて解説します。見ていくのは次の3つです。

  • 1-1 全体は入職超過で、離職率はむしろ下がっている
  • 1-2 美容室が属する産業の一般労働者は離職超過に転じた
  • 1-3 パートタイムは大きく入職超過している

1-1 全体は入職超過で、離職率はむしろ下がっている

まず全体の姿からです。令和7(2025)年の入職率は14.7%、離職率は13.7%で、1.0ポイントの入職超過でした。前年と比べると入職率が0.1ポイント、離職率が0.5ポイント低下し、入職超過率は0.4ポイント拡大しています〔厚生労働省/令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況/2026年8月31日公表〕。

実数で見ると、1年間の入職者数は7,526.8千人、離職者数は7,052.6千人で、入職者が離職者を474.2千人上回りました。就業形態別では、一般労働者が入職率12.0%・離職率11.4%、パートタイム労働者が入職率21.7%・離職率19.9%で、どちらも入職超過です〔同上〕。

つまり日本全体で見れば、人はむしろ職場に定着する方向に動いた年でした。「どこも人が辞めて大変」という空気とは、少し違う数字が出ています。

1-2 美容室が属する産業の一般労働者は離職超過に転じた

ところが産業別に見ると、様子が変わります。日本標準産業分類で美容業が含まれる「生活関連サービス業,娯楽業」の一般労働者は、入職率15.0%に対して離職率16.1%。入職超過率はマイナス1.1ポイント、つまり入ってくる人より出ていく人のほうが多い状態でした〔厚生労働省/令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況 表4-2/2026年8月31日公表〕。

産業計の一般労働者はプラス0.6ポイントの入職超過ですから、向きが逆です。離職率そのものも、産業計の11.4%に対して16.1%と4.7ポイント高くなっています。

ここで重要なのは、この産業がずっと離職超過だったわけではない、という点です。前年の令和6(2024)年は、同産業の一般労働者が入職率17.0%・離職率16.9%でプラス0.1ポイントの入職超過でした〔厚生労働省/令和6年雇用動向調査結果の概況 表4-2/2025年8月26日公表〕。つまり令和7年に、符号が入れ替わったことになります。

そして反転の中身を見ると、離職率は16.9%から16.1%へ0.8ポイント下がっています。増えたのは辞める人ではありません。下がったのは入職率のほうで、17.0%から15.0%へ2.0ポイントの低下です。つまり「辞める人が増えた」のではなく「入ってくる人が減った」結果としてマイナスに転じた、という読み方になります。

ちなみに一般労働者で入職超過率がマイナスになった産業は、この「生活関連サービス業,娯楽業」のほかに、複合サービス事業(マイナス2.1ポイント)、医療,福祉(マイナス0.5ポイント)、製造業(マイナス0.4ポイント)、教育,学習支援業(マイナス0.4ポイント)があります〔同上〕。唯一ではありませんが、マイナス幅としては複合サービス事業に次ぐ大きさです。

1-3 パートタイムは大きく入職超過している

同じ産業でも、パートタイム労働者は姿がまったく違います。入職率29.3%・離職率25.1%で、4.2ポイントの入職超過。パートタイムの入職率としては、宿泊業,飲食サービス業の29.7%に次ぐ高さでした〔厚生労働省/令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況 表4-2/2026年8月31日公表〕。

4人に1人以上が1年で辞め、それ以上の人数が新しく入ってくる。出入りは激しいけれど、頭数としては増えている。この産業のパートタイムは、そういう状態にあります。

生活関連サービス業,娯楽業と産業計の比較(令和7年)
区分 入職率 離職率 入職超過率
産業計(一般労働者) 12.0% 11.4% +0.6pt
生活関連サービス業,娯楽業(一般労働者) 15.0% 16.1% ▲1.1pt
産業計(パートタイム) 21.7% 19.9% +1.8pt
生活関連サービス業,娯楽業(パートタイム) 29.3% 25.1% +4.2pt

出典:厚生労働省「令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況」表4-2(2026年8月31日公表)をもとに作成。

2. この数字を美容室の現場に翻訳する

要点:常勤の入職が細ってパートで補う構図、離職理由の中心が個人的理由であること、転職で賃金が上がる人が4割いることの3つが読み取れます。

これからこの数字を美容室の現場に翻訳する話をします。取り上げるのは次の3つです。

  • 2-1 常勤の入職が細り、パートで補っている構図
  • 2-2 辞める理由の中心は「個人的理由」
  • 2-3 転職した人の4割は賃金が増えている

2-1 常勤の入職が細り、パートで補っている構図

一般労働者はマイナス1.1ポイント、パートタイムはプラス4.2ポイント。同じ産業のなかでこれだけ向きが違うということは、フルタイムで働く層の補充が追いつかない分を、短時間で働く層が埋めているという読み方ができます。

美容室に置き換えると、スタイリストやアシスタントを常勤で採ろうとしても埋まらず、時短勤務やパートの人材で回すサロンが増えている、という現場の実感と重なります。もちろんこの産業には娯楽業や旅行業なども含まれるので、そのまま美容室の数字ではありません。ただ、常勤の採用が細るという向き自体は、業種を超えて共通しやすい傾向です。

この構図が続くと、技術指導や店販提案のように「常勤でないと積み上がりにくい仕事」から先に薄くなります。人数は足りているのに売上が伸びない、という状態はここから起きます。定着そのものの打ち手は美容室の離職率が高い原因と下げ方を整理した記事にまとめています。

2-2 辞める理由の中心は「個人的理由」

離職理由別に見ると、令和7年の離職率のうち「個人的理由」(結婚・出産育児・介護看護・その他の個人的理由の合計)によるものが10.2%、「事業所側の理由」(経営上の都合・出向・出向元への復帰の合計)によるものが0.9%でした。前年と比べると個人的理由は0.5ポイント低下、事業所側の理由は0.1ポイント上昇しています〔厚生労働省/令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況 4 離職理由別離職率の推移/2026年8月31日公表〕。

男女別では、個人的理由による離職率は男性8.8%・女性11.7%。女性は前年から1.2ポイント低下し、男性は前年と同率でした〔同上〕。

この「個人的理由」は、あくまで離職者がいた事業所が回答した理由です。だから、退職面談で「一身上の都合で」と伝えられたものは、ここに入ってきます。数字の上では個人の事情に見えても、その手前に働き方や評価への不満が隠れていることは珍しくありません。理由の内訳をそのまま鵜呑みにせず、自店では退職の申し出があった時点の記録を残しておくほうが、あとで打ち手につながります。

2-3 転職した人の4割は賃金が増えている

もうひとつ、経営者として見ておきたい数字があります。転職入職者の賃金変動です。前職の賃金と比べて「増加」した人が40.8%、「減少」した人が31.0%、「変わらない」が25.5%。増加が減少を9.8ポイント上回りました。さらに「1割以上の増加」は28.2%です〔厚生労働省/令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況 3 転職入職者の状況/2026年8月31日公表〕。

転職すれば給料が上がる人のほうが多い。この事実が世の中の共通認識になっているなら、引き止めの材料に「今はまだ早い」という説得は効きにくくなります。同時に、採用する側から見れば、賃金の提示が競合との比較で見られているということでもあります。

実際、賃金の決め方が曖昧なままだと、上げても納得されず、据え置けば流出するという板挟みになります。ここは美容室の給与の決め方を設計の順番から解説した記事で扱っています。

3. 統計を自店の判断にどう使うか

要点:比べる相手を産業計ではなく同じ産業に置き換え、離職率単体ではなく入職超過率で採用計画を組み立てるのが実務的です。

これから統計を自店の判断にどう使うかを解説します。次の3点で整理します。

  • 3-1 比べる相手を「産業計」から「同じ産業」に変える
  • 3-2 採用計画は離職率ではなく入職超過率で考える
  • 3-3 この統計で分からないこと

3-1 比べる相手を「産業計」から「同じ産業」に変える

自店の離職率を全産業平均の13.7%と比べて「うちは高い」と落ち込むのは、比較としてはずれています。美容室が属する産業の一般労働者は16.1%、計では20.1%です〔厚生労働省/令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況 表4-2/2026年8月31日公表〕。同じ土俵に置き直すだけで、自店の位置は変わって見えます。

スタッフ10人のサロンで年に2人辞めたなら離職率は20%前後。全産業平均と比べれば高く見えますが、同じ産業の計20.1%とはほぼ同水準です。良い悪いを判断する前に、まず「どの平均と比べているのか」を揃える。これだけで、無用な自己評価の上下は減ります。

3-2 採用計画は離職率ではなく入職超過率で考える

離職率だけを見ていると、辞めた人数を埋めれば済むように感じます。ただ実際に必要なのは、入る人と出る人の差である入職超過率のほうです。産業として一般労働者がマイナス1.1ポイントということは、産業全体では退職した分を採用で埋めきれなかったと読み取れます。ただしこれは産業全体を集計した値であり、個々の事業所の採用充足率をそのまま表すものではありません。

採用計画を立てるときは、退職見込みの人数に対して同数の採用枠を置くのではなく、採用が計画どおりに埋まらない前提で余裕を持たせる。あるいは、そもそも退職見込みを減らす側に予算を寄せる。どちらを選ぶかは店の状況次第ですが、「同数で足りる」という前提だけは外しておいたほうが安全です。

コスト・制度・集客も含めた2026年の動向は美容室経営に効く業界動向2026のまとめ記事で通して確認できます。

3-3 この統計で分からないこと

使ううえでの限界も押さえておきます。雇用動向調査は、5人以上の常用労働者を雇用する事業所から14,840事業所を抽出して行われ、上半期9,277事業所・下半期8,807事業所から有効回答を得た調査です〔厚生労働省/令和7(2025)年「雇用動向調査」の調査結果を公表します/2026年8月31日公表〕。つまり、常用労働者が5人未満の事業所は調査対象に入っていません。少人数で運営しているサロンは、この数字の外側にあります。

もうひとつ、「生活関連サービス業,娯楽業」には美容業のほかに洗濯業・理容業・浴場業・旅行業・冠婚葬祭業・娯楽業などが含まれます。美容室単体の離職率ではない、という点は誤解しないようにしてください。美容室に絞った実態を見たい場合は、業界団体や民間調査機関が出している美容師向けの就業実態調査もあわせて確認するのが確実です。

まとめ

令和7(2025)年の雇用動向調査では、全体の入職率14.7%・離職率13.7%で1.0ポイントの入職超過となり、離職率は前年より0.5ポイント低下しました。一方、美容室が属する「生活関連サービス業,娯楽業」の一般労働者は入職率15.0%・離職率16.1%で1.1ポイントの離職超過。前年はプラス0.1ポイントの入職超過だったので、この年に符号が反転しています。しかも反転の中身は離職の増加ではなく、入職率が17.0%から15.0%へ2.0ポイント下がったことでした。パートタイムは4.2ポイントの入職超過で、頭数はそちらで埋まる構図です。自店の状態を測るときは、比べる平均を同じ産業に揃えることから始めるのが実務的です。

  • 全体は入職率14.7%・離職率13.7%で1.0ポイントの入職超過(離職率は前年比0.5ポイント低下)。
  • 美容室が属する産業の一般労働者は入職率15.0%・離職率16.1%で1.1ポイントの離職超過。前年のプラス0.1ポイントから符号が反転した。
  • 反転の主因は離職の増加ではなく入職の減少(離職率16.9%→16.1%、入職率17.0%→15.0%)。
  • 同産業のパートタイムは入職率29.3%・離職率25.1%で4.2ポイントの入職超過。
  • 離職理由は個人的理由10.2%、事業所側の理由0.9%。
  • 転職入職者の40.8%は前職より賃金が増加し、増加が減少を9.8ポイント上回った。
  • 調査対象は常用労働者5人以上の事業所。少人数サロンは対象外である点に注意。

よくある質問

Q1. 美容師の離職率は16.1%ということですか。

いいえ。16.1%は美容室が属する「生活関連サービス業,娯楽業」全体の一般労働者の離職率です〔厚生労働省/令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況 表4-2/2026年8月31日公表〕。この産業には理容業・洗濯業・旅行業・冠婚葬祭業・娯楽業なども含まれるため、美容師だけを取り出した数字ではありません。美容室の傾向を測る目安として使うのが適切です。

Q2. うちは5人以下のサロンですが、この統計は参考になりますか。

参考にはなりますが、そのまま当てはめないほうが安全です。雇用動向調査は常用労働者5人以上の事業所を対象にしているため、それ未満の規模は調査に含まれていません。少人数の店は1人の退職が離職率に与える影響も大きく、率での比較自体が振れやすくなります。

Q3. 離職率が下がっているのに、現場では人手不足感が強いのはなぜですか。

離職率の低下は全産業ベースの話で、美容室が属する産業の一般労働者は令和7年に入職より離職が多い状態へ転じたためです。しかもその原因は離職の増加ではなく入職の減少(入職率17.0%→15.0%)でした。辞める人が減っていても、入ってくる人がそれ以上に減れば現場は薄くなります。加えて、この産業のパートタイムは入職率29.3%・離職率25.1%と出入りが激しく、頭数が埋まっても常勤の担い手が増えていない可能性があります〔同上〕。人数と戦力が一致しないことが、体感とのずれを生みます。

本記事について

本記事は2026年9月1日時点で公表されている一次資料をもとに作成しています。統計の定義や区分は改定される場合があります。労務管理・就業規則・雇用契約に関する個別の判断は、社会保険労務士など専門家にご相談ください。

更新履歴:2026年9月1日 初版公開。

出典

  • 厚生労働省「令和7(2025)年『雇用動向調査』の調査結果を公表します」(2026年8月31日)報道発表資料(PDF)
  • 厚生労働省「令和7年 雇用動向調査結果の概要」(2026年8月31日)結果の概要ページ
  • 厚生労働省「令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況 2 産業別の入職と離職」表4-2(PDF)
  • 厚生労働省「令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況 3 転職入職者の状況」PDF
  • 厚生労働省「令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況 4 離職理由別離職率の推移」PDF
  • 厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況 2 産業別の入職と離職」(2025年8月26日公表・前年比較に使用)表4-2(PDF)
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