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美容室の店販率を上げる方法|押し売りにしない売り方

林 佑馬監修:林 佑馬(株式会社VOC 代表取締役)
美容室の店販率を上げる方法|押し売りにしない売り方

店販を勧めても売れない、押し売りみたいで気が引ける、スタッフによって売れる人と売れない人の差が大きい。店販はそんな悩みが尽きないテーマです。けれど売れているお店を見ていくと、特別なトーク術で押し切っているわけではなく、売る前の準備と順番が違うだけだと分かります。利益率の高い店販は、施術売上が横ばいでもお店の利益を底上げしてくれる大切な柱です。この記事では、押し売りにせずに店販率を上げるための土台づくりから売り方の手順まで、現場で使える形で整理しました。商品を売り込むのではなく、欲しいと思ってもらう設計に変えていきましょう。

この記事を3行で解説

  • 店販が売れない原因は、売ろうとする姿勢と、商品を単体で語ってしまうこと
  • 売り方の前に、コンセプトと連動した商品選びと売り場・導線の設計を整えるのが先
  • 警戒心を下げて信頼をつくり、施術内で体感させ、商品説明ではなく体験を語ると自然に売れる

1. なぜ美容室で店販が売れないのか

これから店販が売れない原因について解説します。つまずきの正体が分かると、打ち手が見えてきます。

  • 1-1 売ろうとするほど売れない
  • 1-2 商品を単体で語るから選ばれない

1-1 売ろうとするほど売れない

店販は、売りたい気持ちが前に出るほど売れなくなります。

お客様は売り込まれると警戒し、その場では断りやすくなるからです。説得しようとすればするほど、お客様は守りに入り、せっかくの信頼まで損ねてしまいます。売上のために勧めているという空気は、思っている以上に伝わります。

売れている美容師ほど、売ろうとしていません。お客様の髪や頭皮の悩みに寄り添ううちに、その人にとって必要なものとして商品が自然に出てくる。主役はあくまでお客様の悩みであって、商品ではないという順番が守られています。

1-2 商品を単体で語るから選ばれない

商品の機能だけを説明しても、お客様の心は動きにくいです。

成分や効果を並べても、それがお店全体の世界観や自分の悩みとつながっていないと、ドラッグストアやネットの商品と比べられて終わってしまうからです。安く買える場所がある以上、機能の説明だけでは選ぶ理由になりません。

VOCの考え方では、物販はコンセプトとの連動と導線の設計で決まります。このお店が大事にしていることと、提案する商品が一本でつながっているほど、お客様はここで買う意味を感じます。商品単体ではなく、お店の価値の延長として語れているかが分かれ目です。

2. 店販率を上げる前に整える土台

これから売り方の前に整えるべき土台について解説します。ここを飛ばすとトークだけが空回りします。

  • 2-1 コンセプトと連動した商品を選ぶ
  • 2-2 売り場と導線を設計する

2-1 コンセプトと連動した商品を選ぶ

店販で扱う商品は、お店のコンセプトに合うものにしぼります。

お店が大事にしている価値と商品の方向性が一致していると、提案に一貫性が生まれ、お客様も納得しやすいからです。コンセプトと関係のない商品をたくさん並べても、何を勧めるお店なのかが伝わらず、スタッフも自信を持って勧められません。

髪質改善を売りにしているなら、その仕上がりを家でも続けられる商品を軸にする。扱う数をしぼり、なぜこの商品なのかをスタッフ全員が言葉にできる状態にしておくと、提案の説得力が変わります。

2-2 売り場と導線を設計する

商品が売れるかどうかは、置き方と見せ方の設計でも変わります。

お客様が商品を目にして手に取れる流れがあるかどうかで、興味の生まれ方が変わるからです。棚の奥にただ並べてあるだけでは、その存在に気づかれないまま帰られてしまいます。

セット面やレジ周りに、おすすめの理由を添えて見やすく置く。施術後に手に取りやすい位置にする。お客様が自然と商品に出会える導線をつくっておくと、無理に勧めなくても会話のきっかけが生まれます。

3. 押し売りにしない売り方の手順

これから具体的な売り方の手順について解説します。順番を意識すると、勧めることが怖くなくなります。

  1. 3-1 警戒心を下げて信頼をつくる
  2. 3-2 施術内で効果を体感してもらう
  3. 3-3 商品説明ではなく体験を語る

3-1 警戒心を下げて信頼をつくる

商品を勧める前に、まずお客様の警戒心を下げて信頼を築きます。

販売の成否の大半は、商品を提案する前の関わり方で決まるからです。お客様が心を開いていない状態でいきなり商品の話をしても、売り込みとしか受け取られません。

笑顔で迎え、目線を合わせ、悩みにしっかり相づちを打って聞く。こうした関わりで安心してもらえると、その人のための提案として商品の話を受け取ってもらえるようになります。売る技術の前に、聞く姿勢が土台になります。

3-2 施術内で効果を体感してもらう

言葉で説明するより、施術の中で効果を体感してもらいます。

自分の髪で違いを感じてもらえると、商品の価値が説明なしで伝わるからです。使ったことのないものを言葉だけで勧められても、お客様は良さを想像しきれません。

仕上げに使うトリートメントやスタイリング剤を施術内で実際に使い、手触りや仕上がりの変化を一緒に確認する。良いと感じてもらえれば、家でも続けたいという気持ちが自然に生まれ、こちらから押す必要がなくなります。

3-3 商品説明ではなく体験を語る

商品を勧めるときは、機能の説明ではなく体験を語ります。

人は機能の羅列より、その商品で暮らしがどう変わるかという物語に心を動かされるからです。成分や効果を並べるだけでは、お客様は自分ごととしてイメージできません。

朝のスタイリングが楽になる、お風呂上がりの手触りが変わるといった、使った後の毎日を一緒に思い描く。お客様自身が良くなった姿を想像できると、買うかどうかの判断は自然と前向きになります。

4. 店販を続く仕組みにする

これから店販を一過性にしないための仕組みについて解説します。個人技に頼らない状態をつくります。

  • 4-1 数字を共有して役割で動く
  • 4-2 利益率で見て経営に組み込む

4-1 数字を共有して役割で動く

店販を続けるには、売上や店販率の数字をスタッフと共有します。

数字という共通の指標があると、感覚ではなく事実で振り返りができ、改善が自分ごとになるからです。オーナーだけが数字を見ている状態だと、スタッフは何を目指せばいいか分からず、店販は人によってばらつきます。

店販率や一人あたりの提案数を見える形にし、うまくいった声かけを共有する。誰がどの商品を担当するかといった役割を持たせると、得意を生かしながらお店全体で店販を育てていけます。

4-2 利益率で見て経営に組み込む

店販は売上だけでなく、利益率の視点で経営に組み込みます。

店販は施術に比べて原価以外の手間が少なく、利益率の面でお店の体力を支える柱になりうるからです。売上の数字だけを追うと、その利益への貢献度を見落としてしまいます。

店販がどれだけ利益に貢献しているかを把握し、施術売上が伸び悩む時期の支えとして位置づける。一時的なキャンペーンで終わらせず、お店の収益設計の一部として続けていくことが、安定した経営につながります。

まとめ:店販は「売らない設計」で伸びる

美容室の店販が売れない原因は、売ろうとする姿勢と、商品を単体で語ってしまうことにあります。売り方を磨く前に、コンセプトと連動した商品選びと、売り場や導線の設計を整えるのが先です。そのうえで、警戒心を下げて信頼をつくり、施術内で効果を体感してもらい、機能ではなく体験を語る。この順番なら、押し売りにせずに欲しいと思ってもらえます。さらに数字をスタッフと共有して役割で動き、利益率の視点で経営に組み込めば、店販は個人技ではなくお店の仕組みとして続いていきます。売り込むのをやめ、選ばれる設計に変えることが、店販率を上げるいちばんの近道です。

押さえておきたいポイントは次の通りです。

  • 売れない原因は売ろうとする姿勢と商品単体の説明
  • 売り方の前にコンセプト連動の商品選びと売り場・導線を設計する
  • 信頼づくり→施術内で体感→体験を語る、の順で勧める
  • 数字共有と利益率の視点で、店販を続く仕組みにする

よくある質問

Q1. 押し売りだと思われるのが怖くて店販を勧められません。

勧めることを売り込みと切り離して考えると、気持ちが楽になります。押し売りに感じられるのは、お客様の悩みより先に売上の都合が出てしまうときです。まずは髪や頭皮の悩みを聞き、施術の中でその人に合う商品を実際に体感してもらいましょう。良さを感じたうえで家でも続けたいかを尋ねる流れなら、提案は押し付けではなく気づかいになります。売るのではなく、必要な人に届ける感覚を持つことが大切です。

Q2. スタッフによって店販の売上に差があります。どうすればいいですか?

個人のトーク力の差として片付けず、仕組みの差として見直すのがおすすめです。売れているスタッフがやっている声かけや、商品を勧めるタイミングを言葉にして全員で共有しましょう。あわせて、扱う商品をしぼってなぜこの商品なのかをそろえておくと、経験の浅いスタッフでも自信を持って勧められます。数字を見える形にして振り返る習慣をつくると、差は少しずつ縮まっていきます。

Q3. 取り扱う商品の数は多いほうがいいですか?

数を増やすより、コンセプトに合うものにしぼるほうが売れやすくなります。種類が多すぎると、何を勧めるお店なのかが伝わらず、スタッフも提案に迷ってしまうからです。お店が大事にしている価値や得意な施術と方向性が合う商品を軸に置き、その理由を全員が説明できる状態にしておきましょう。しぼることで一つひとつの商品の魅力が伝わりやすくなり、結果的に店販率は上がりやすくなります。

美容室マネジメントを体系的に学ぶ|VOC

▶ この記事は美容室経営の教科書(全体像)の一部です。

林 佑馬
この記事の監修者

林 佑馬株式会社VOC 代表取締役

美容室マネジメントの専門家。理念・組織・教育・売上を一枚の設計図として描くマネジメント理論を提唱し、コンサルティング・スクール・編集メディアを運営。自社テストサロン「monet」は全店3ヶ月以内に黒字・半年以内に満席の実装実績を持つ。

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