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美容室の損益分岐点の計算方法|赤字と黒字の境界線を知る

美容室の損益分岐点の計算方法|赤字と黒字の境界線を知る

今月はいくら売り上げれば赤字にならないのか。この問いに即答できるかどうかで、経営の安心感は大きく変わります。その答えを教えてくれるのが損益分岐点です。難しそうな響きですが、仕組みは意外とシンプルで、美容室の数字管理では最初に身につけたい考え方のひとつです。この記事では、損益分岐点の意味と計算方法、美容室での使い方を分かりやすく整理します。なお本記事は一般的な解説です。自店の正確な数値管理や税務は税理士など専門家にご相談ください。

この記事を3行で解説

  • 損益分岐点は利益がゼロになる売上高のことで、赤字と黒字の境界線
  • 経費を固定費と変動費に分ければ、シンプルな式で自店の数字が出せる
  • 目標売上の設定や値決め、経費見直しの判断に日常的に使える

1. 損益分岐点とは何か

これから損益分岐点の基本について解説します。まず言葉の意味からです。

  • 1-1 赤字と黒字の境界線になる売上高
  • 1-2 固定費と変動費に分けるのが出発点

1-1 赤字と黒字の境界線になる売上高

損益分岐点とは、売上と費用がちょうど等しくなり、利益がゼロになる売上高のことです。

この金額を超えれば黒字、下回れば赤字という境界線になるため、自店が最低いくら売り上げる必要があるかがはっきりするからです。

月商がいくらなら安心なのか、感覚で経営していると、忙しかったのにお金が残らない月の理由が見えません。損益分岐点という物差しを持つと、今月はあと何人、あといくらという具体的な行動目標に変換できるようになります。

1-2 固定費と変動費に分けるのが出発点

損益分岐点を出すには、経費を固定費と変動費の2つに分けます。

売上がゼロでもかかる費用と、売上に比例して増える費用では性質が違い、この区別が計算の土台になるからです。

美容室の固定費の代表は、家賃、正社員の給与、リース料、定額の広告費など。変動費の代表は、カラー剤やシャンプーなどの材料費や、歩合給の部分です。細かい厳密さより、まず大きく2つに分けてみることが大切です。自店の経費一覧を眺めて、売上と連動するかどうかで仕分けてみてください。

2. 損益分岐点の計算方法

これから具体的な計算方法について解説します。式はひとつだけです。

  • 2-1 計算式と使う数字
  • 2-2 美容室のシンプルな計算例

2-1 計算式と使う数字

損益分岐点売上高は、固定費÷(1−変動費率)で計算できます。

変動費率とは売上に対する変動費の割合のことで、売上から変動費を引いた残り(限界利益)で固定費を回収できる売上高を逆算する式だからです。

必要な数字は、月々の固定費の合計と、売上に対する変動費の割合の2つだけ。美容室の変動費率は材料費を中心に10〜30%程度に収まるお店が多いといわれますが、メニュー構成や歩合の設計で変わるので、自店の損益計算書から実際の割合を出すのが確実です。

2-2 美容室のシンプルな計算例

数字を入れてみると、式の意味がすっと入ってきます。

具体例で手を動かすことが、数字を自分のものにする一番の近道だからです。

固定費が月80万円、変動費率が20%のお店なら、80万円÷(1−0.2)=100万円。つまり月商100万円が損益分岐点です。客単価が8,000円なら月125人、25日営業なら1日5人が最低ラインという計算になります。売上高というだけでは漠然としていた目標が、1日あたりの人数まで落ちてくると、日々の行動につながります。

3. 損益分岐点の活かし方

これから損益分岐点の実践的な使い方について解説します。計算して終わりにしないのがポイントです。

  • 3-1 目標売上と利益計画に使う
  • 3-2 分岐点を下げる2つの方向

3-1 目標売上と利益計画に使う

損益分岐点は、残したい利益から逆算する目標設定に使えます。

式の固定費に目標利益を足せば、その利益を出すために必要な売上高が同じ計算で求められるからです。

先ほどの例で月30万円の利益を残したいなら、(80万円+30万円)÷0.8=137.5万円が目標売上になります。ギリギリの分岐点ではなく、利益を含めた目標ラインで月間計画を立てる。この習慣がつくと、月の途中でも進捗の良し悪しが判断でき、打ち手を早く出せるようになります。

3-2 分岐点を下げる2つの方向

損益分岐点そのものを下げることも、経営改善の選択肢です。

分岐点が下がれば、同じ売上でも利益が残りやすい体質になり、閑散期の心理的な余裕も生まれるからです。方向は固定費を下げるか、変動費率を下げるかの2つです。

固定費なら、使っていないサブスクや効果の見えない定額広告の見直しから。変動費率なら、材料ロスの削減や仕入れの見直し、そして値上げも変動費率を下げる有効な打ち手です。ただし人件費や教育費を削ると、サービスの質という土台を傷めかねません。何を削り、何を守るかはお店の設計思想とセットで考えてください。

まとめ:分岐点を知れば、数字が行動に変わる

損益分岐点は利益がゼロになる売上高で、固定費÷(1−変動費率)で計算できます。経費を固定費と変動費に分け、自店の分岐点を一度出してみること。そこから客単価と営業日数で1日あたりの必要人数まで落とし込めば、数字は日々の行動目標に変わります。さらに目標利益を足した逆算や、固定費・変動費率の見直しにも同じ式が使えます。正確な数値の把握や税務まわりの判断は、税理士など専門家と一緒に進めると確実です。まずは先月の数字で、自店の分岐点を計算してみてください。

よくある質問(Q&A)

Q1. 歩合給は固定費と変動費のどちらに入れればいいですか?

A. 固定給の部分は固定費、売上に連動する歩合の部分は変動費に分けるのが基本の考え方です。厳密に分けにくい場合は、まずおおまかに分けて計算し、精度を上げたい段階で税理士に相談しながら整理するとよいでしょう。

Q2. 変動費率はどうやって調べればいいですか?

A. 損益計算書か会計ソフトで、材料費など売上に連動する経費の合計を売上高で割れば出せます。季節で変動するので、1か月だけでなく3〜6か月の平均で見ると実態に近づきます。帳簿がない場合は、まず経費の記録を整えるところからです。

Q3. 計算した分岐点に売上が届いていません。何から手をつけるべきですか?

A. まず分岐点との差額を金額と客数に換算し、原因が客数・単価・経費のどこにあるかを切り分けてください。そのうえで、固定費の見直しといった即効性のある打ち手と、単価や再来率の改善といった中期の打ち手を並行させるのが定石です。資金繰りに不安がある場合は早めに税理士へ相談を。

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