値上げしたら、お客さまが離れるんじゃないか。価格改定を前にして、いちばん怖いのはたぶんここだと思います。ところが2026年8月19日に公表された調査解説を読むと、ヘアサロンの値上げに納得しているお客さまは73.3%。美容の5ジャンルのなかで最も高い数字でした。しかも値上げしても通い続けたい理由の上位に、料金の項目は入っていません。この記事では、リクルート ホットペッパービューティーアカデミーが公表した数字をそのまま追いながら、値上げの可否ではなく、何が伝わっていれば通い続けてもらえるのかを整理していきます。
この記事を3行で解説
- ヘアサロンの値上げに納得しているお客さまは73.3%で、美容5ジャンルのうち最も高い水準。
- 1回あたりの利用金額を下げたのはヘアサロン利用者の6.1%。その少数派のなかでの理由1位は「物価高による生活費の負担が増えたため」41.0%で、「サロン側の料金改定で予算オーバー」は16.5%の5位。
- 値上げしても通い続けたい理由の1位は立地37.3%。技術力34.5%・理解してくれる安心感34.3%・スタッフの人柄33.2%が続き、「料金設定・納得感」は20.7%で上位5項目に入らず。
株式会社リクルート ホットペッパービューティーアカデミー「美容サロン利用における物価高の影響調査」
調査手法:インターネットリサーチ/調査対象:全国男女20〜49歳のうち1年以内のヘアサロン利用者、またはリラク・エステ・アイ・ネイルのいずれかのサロン利用者/有効回答数:3,095人/実施期間:2026年6月5日〜6月8日/公表日:2026年7月31日
本記事の数値は、同調査を解説した研究員コラム「値上げの時代、通い続けてもらう条件」(文責:ホットペッパービューティーアカデミー研究員 田中公子/公表日2026年8月19日)に掲載された値です。
調査本体を見る 研究員コラムを見る
1. 値上げがあったと答えた利用者は、ヘアサロンで51.0%
要点:1年以内に利用したサロンで値上げがあった(予定を含む)と答えた利用者は、ヘアサロンで51.0%。5ジャンルすべてがおよそ5割でした。
この数値は利用者に聞いた回答の割合であり、サロン側が値上げを実施した店舗の比率(実施率)ではありません。
これから美容室の値上げがどこまで広がっているかについて解説します。
- 1-1 ヘアサロンでは51.0%が値上げがあったと回答
- 1-2 ジャンル別で最も高いのはネイルサロンの59.1%
1-1 ヘアサロンでは51.0%が値上げがあったと回答
1年以内に利用したサロンで値上げが行われた(予定を含む)と答えた人は、ヘアサロンで51.0%でした〔株式会社リクルート ホットペッパービューティーアカデミー「美容サロン利用における物価高の影響調査」(公表日2026年7月31日)/解説:研究員コラム「値上げの時代、通い続けてもらう条件」(公表日2026年8月19日)〕。 一次ソースを見る
半数を超えているというのは、お客さまから見ても値上げがもう珍しい出来事ではない、ということです。値上げの案内を出したときに「うちのサロンだけ?」と思われる状況ではない、と言い換えてもいいと思います。
背景にあるのはコストです。サロン専売品の価格改定は2026年も続いていて、材料費の動きはミルボンの2026年上期決算から読み解いた記事でも整理しています。仕入れと人件費が上がっている以上、価格を据え置く選択肢のほうがむしろ難しくなっています。
1-2 ジャンル別で最も高いのはネイルサロンの59.1%
ジャンル別に見ると、値上げがあった(予定を含む)と答えた割合と、値上げへの納得度は次のとおりです〔株式会社リクルート ホットペッパービューティーアカデミー「美容サロン利用における物価高の影響調査」(公表日2026年7月31日)/解説:研究員コラム「値上げの時代、通い続けてもらう条件」(公表日2026年8月19日)〕。
| ジャンル | 値上げがあったと回答 | 値上げに納得(納得+どちらかといえば納得) |
|---|---|---|
| ネイルサロン | 59.1% | 60.5% |
| リラクゼーションサロン | 57.5% | 67.4% |
| エステサロン | 53.9% | 61.3% |
| ヘアサロン | 51.0% | 73.3% |
| アイビューティーサロン | 49.4% | 68.1% |
並べてみると、値上げがあったと答えた割合はヘアサロンが下から2番目なのに、納得度は5ジャンルで最も高い。逆に最も値上げが広がっているネイルサロンは、納得度では最下位です。値上げの広がりと納得は比例していない、という形になっています。
2. 値上げに納得している人は73.3%で全ジャンル最高
要点:ヘアサロンの値上げに「納得している」「どちらかといえば納得している」は合計73.3%。5ジャンルで最も高い数字です。
これから値上げがお客さまにどう受け止められているかについて解説します。
- 2-1 ヘアサロンの納得度は73.3%でトップ
- 2-2 業界全体に広がったことが納得を後押ししている
2-1 ヘアサロンの納得度は73.3%でトップ
ヘアサロンの値上げに「納得している」「どちらかといえば納得している」と答えた割合は73.3%で、全ジャンルのなかで最も高い水準でした。続いてアイビューティーサロン68.1%、リラクゼーションサロン67.4%、エステサロン61.3%、ネイルサロン60.5%です〔株式会社リクルート ホットペッパービューティーアカデミー「美容サロン利用における物価高の影響調査」(公表日2026年7月31日)/解説:研究員コラム「値上げの時代、通い続けてもらう条件」(公表日2026年8月19日)〕。 一次ソースを見る
およそ4人に3人が納得している、という数字です。値上げイコール失客という前提で価格を据え置いてきたサロンにとっては、判断の材料が1つ増えたことになります。
2-2 業界全体に広がったことが納得を後押ししている
納得の背景には、値上げが業界全体に広がっているという状況があります。どのサロンも値上げしているからこそ、相応の理由があると受け止められやすい面がある、と同コラムは指摘しています〔株式会社リクルート ホットペッパービューティーアカデミー「美容サロン利用における物価高の影響調査」(公表日2026年7月31日)/解説:研究員コラム「値上げの時代、通い続けてもらう条件」(公表日2026年8月19日)〕。
ただし、ここは注意して読む必要があります。納得は自動的に得られるものではなく、価格に見合う価値が伝わっていることが前提になる、とも書かれています。周りが上げているから自分も上げれば納得される、という話ではありません。実際の伝え方やタイミングの組み立ては美容室の値上げのやり方をまとめた記事で手順として整理しています。
3. 単価を下げた少数派の理由は、サロン起因ではなく家計起因
要点:1回あたりの利用金額を下げたのはヘアサロン利用者の6.1%。その層のなかでの理由1位は物価高による生活費の負担増41.0%でした。
これから利用金額を抑えたお客さまの心理について解説します。
- 3-1 下げたのはヘアサロン利用者の6.1%だけ
- 3-2 その6.1%のなかでも、理由の上位は家計要因
3-1 下げたのはヘアサロン利用者の6.1%だけ
前提として、ヘアサロン利用者のうち1回あたり利用金額を下げた人は6.1%で、多くは維持または増加でした〔株式会社リクルート ホットペッパービューティーアカデミー「美容サロン利用における物価高の影響調査」(公表日2026年7月31日)/解説:研究員コラム「値上げの時代、通い続けてもらう条件」(公表日2026年8月19日)〕。値上げが半数超のサロンで起きているなかでも、単価を落とした人は少数派にとどまっています。
3-2 その6.1%のなかでも、理由の上位は家計要因
ここから先の割合は、1回あたりの利用金額を安く抑えようと思った人(=上記の少数派)を分母とした数値です。利用者全体に対する割合ではない点にご注意ください。
その理由をトップ5で見ると、1位は「物価高による生活費の負担が増えたため」で41.0%。2位以下は「生活様式の変化」27.6%、「他の消費にお金を回したい」22.7%、「収入や自由に使えるお金の減少」22.3%と続きます〔株式会社リクルート ホットペッパービューティーアカデミー「美容サロン利用における物価高の影響調査」(公表日2026年7月31日)/解説:研究員コラム「値上げの時代、通い続けてもらう条件」(公表日2026年8月19日)〕。1位の「生活費の負担増」は男性では55.2%に達しています(分母が小さい層の内訳のため参考値としてご覧ください)。
「サロン側の料金改定で予算オーバーになるため」も16.5%で5位に入りますが、上位を占めるのはいずれもサロン起因の不満ではなく、家計側の要因です〔株式会社リクルート ホットペッパービューティーアカデミー「美容サロン利用における物価高の影響調査」(公表日2026年7月31日)/解説:研究員コラム「値上げの時代、通い続けてもらう条件」(公表日2026年8月19日)〕。
ここは経営判断に直結する部分です。客単価が下がったとき、原因を自店の値上げに求めて価格を戻す、あるいは割引を増やす、という反射的な動きをしがちですが、この数字を見るかぎり主因は家計側にあります。回数や点数が削られる局面での考え方は客離れ対策として「回数減」を止める設計で扱っています。
4. 通い続けたい理由の上位に「料金」は入っていない
要点:値上げしても通い続けたい理由の1位は立地37.3%。「料金設定・納得感」は20.7%で上位5項目に入りませんでした。
これから値上げを乗り越えるサロンの条件について解説します。
- 4-1 1位は立地37.3%、2位以下は技術と関係性
- 4-2 料金設定・納得感は20.7%で圏外
4-1 1位は立地37.3%、2位以下は技術と関係性
値上げしてもこれがあるなら通い続けたい、と答えた理由のうち、出典が具体的な数値を挙げている上位4項目は次のとおりです〔株式会社リクルート ホットペッパービューティーアカデミー「美容サロン利用における物価高の影響調査」(公表日2026年7月31日)/解説:研究員コラム「値上げの時代、通い続けてもらう条件」(公表日2026年8月19日)〕。 一次ソースを見る
| 順位 | 通い続けたい理由 | 割合 |
|---|---|---|
| 1 | 自宅や職場から近く、通いやすい立地 | 37.3% |
| 2 | 確かな技術力・満足度(モチの良さ、仕上がりなど) | 34.5% |
| 3 | 自分の髪型・肌質を理解してくれる安心感 | 34.3% |
| 4 | スタッフの人柄・コミュニケーションの取りやすさ | 33.2% |
※出典は上位5項目という枠組みで紹介していますが、具体的な数値が示されているのは上記の4項目です。5位の項目名・数値は公表されていないため、本記事では記載していません。
2位から4位は34.5%・34.3%・33.2%と僅差で並んでいます。技術、理解、人柄という信頼に関わる要素が団子状態で並んでいる、という形です。
4-2 料金設定・納得感は20.7%で圏外
「料金設定・納得感」は20.7%で、上位5項目には入りませんでした〔株式会社リクルート ホットペッパービューティーアカデミー「美容サロン利用における物価高の影響調査」(公表日2026年7月31日)/解説:研究員コラム「値上げの時代、通い続けてもらう条件」(公表日2026年8月19日)〕。1位の立地37.3%とは16.6ポイントの差があります。
値ごろ感そのものよりも、この人・この店だから通いたいと思える技術と関係性のほうが、通い続ける理由として上位にある。同コラムはそう結論づけています〔株式会社リクルート ホットペッパービューティーアカデミー「美容サロン利用における物価高の影響調査」(公表日2026年7月31日)/解説:研究員コラム「値上げの時代、通い続けてもらう条件」(公表日2026年8月19日)〕。
5. この数字から、サロンが手をつけられる3つのこと
要点:調査から読み取れる打ち手は、値上げの可否を悩むことではなく、技術と関係性が伝わっている状態をつくることに寄っています。
これから調査結果を自店の運営に落とす方法について解説します。
- 5-1 値上げするかどうかより、伝わっているかを点検する
- 5-2 通いやすさを立地以外でつくる
- 5-3 客単価の低下を、価格のせいだけにしない
5-1 値上げするかどうかより、伝わっているかを点検する
納得の前提は、価格に見合う価値が伝わっていることです。カルテに前回の仕上がりや悩みが残っていて、次の来店でその話から始められるか。担当が変わっても同じ会話ができるか。3位の「自分の髪型・肌質を理解してくれる安心感」34.3%は、記録と共有の運用そのものです。
値上げの案内文を磨く前に、いま来ているお客さまに理解が届いているかを見るほうが順番として先だと思います。
5-2 通いやすさを立地以外でつくる
1位が立地37.3%というのは、裏を返せば店を動かせないサロンにとっては手が出しにくい項目です。ただ、通いやすさは物理的な距離だけではありません。希望の時間に予約が取れるか、次回予約をその場で押さえられるか、待ち時間が長すぎないか。ここは立地を変えずに動かせます。
移転を検討できないなら、2位から4位の技術・理解・人柄を積み上げる。この3つはいずれも33%台から34%台で、立地の37.3%と大きくは離れていません。
5-3 客単価の低下を、価格のせいだけにしない
単価を下げた人の理由の上位4つは家計要因で、サロン側の料金改定は5位の16.5%でした。単価が落ちたときに真っ先に価格を疑うと、本来は残せたはずの利益を自分で削ることになります。
まず見るのは、来店周期が延びたのか、メニュー数が減ったのか、店販が落ちたのか。どこが動いたかを分解してから手を打つ順番になります。
6. まとめ
ヘアサロンの値上げに納得しているお客さまは73.3%で、美容5ジャンルのなかで最も高い水準でした。1回あたりの利用金額を下げたのはヘアサロン利用者の6.1%にとどまり、その層のなかでの理由も1位は物価高による生活費の負担増41.0%、サロン側の料金改定は16.5%の5位。そして値上げしても通い続けたい理由の1位は立地37.3%、続いて技術力34.5%・理解してくれる安心感34.3%・スタッフの人柄33.2%で、「料金設定・納得感」は20.7%と上位5項目に入りませんでした〔株式会社リクルート ホットペッパービューティーアカデミー「美容サロン利用における物価高の影響調査」(公表日2026年7月31日)/解説:研究員コラム「値上げの時代、通い続けてもらう条件」(公表日2026年8月19日)〕。値上げを乗り越える鍵は値ごろ感ではなく、技術と関係性のほうにある、というのがこの調査の結論です。
重要なポイント
- 値上げがあったと答えた利用者はヘアサロンで51.0%。5ジャンルすべてがおよそ5割。
- 値上げへの納得度はヘアサロン73.3%で全ジャンル最高。値上げの広がりと納得度は比例していない。
- 単価を下げたのは利用者の6.1%で、その理由の上位は家計要因。サロン起因は16.5%の5位。
- 通い続けたい理由の上位は立地・技術・理解・人柄で、料金設定・納得感は20.7%と圏外。
- 納得は自動的には得られず、価格に見合う価値が伝わっていることが前提。
コストや制度の動きをまとめて把握したい場合は美容室経営に効く業界動向2026のまとめもあわせてご覧ください。
7. よくある質問
Q1. 値上げしても本当にお客さまは離れないのですか。
この調査が示しているのは、ヘアサロンの値上げに「納得している」「どちらかといえば納得している」と答えた人が73.3%だった、という点です〔株式会社リクルート ホットペッパービューティーアカデミー「美容サロン利用における物価高の影響調査」(公表日2026年7月31日)/解説:研究員コラム「値上げの時代、通い続けてもらう条件」(公表日2026年8月19日)〕。離れないことを保証する数字ではありませんが、値上げが一律に拒まれてはいないことは読み取れます。同じ調査で、納得は自動的に得られるものではなく価格に見合う価値が伝わっていることが前提だ、とも述べられています。
Q2. お客さまの単価が下がってきました。値上げをやめるべきでしょうか。
この調査では、1回あたりの利用金額を下げたのはヘアサロン利用者の6.1%で、その層のなかでの理由1位は「物価高による生活費の負担が増えたため」41.0%、「サロン側の料金改定で予算オーバーになるため」は16.5%の5位でした〔株式会社リクルート ホットペッパービューティーアカデミー「美容サロン利用における物価高の影響調査」(公表日2026年7月31日)/解説:研究員コラム「値上げの時代、通い続けてもらう条件」(公表日2026年8月19日)〕。単価低下の主因が家計側にある場合、価格を戻しても解決しない可能性があります。まずは来店周期・メニュー数・店販のどこが動いたかを分けて確認する順番になります。
Q3. 立地が良くない店は不利ということですか。
通い続けたい理由の1位は「自宅や職場から近く、通いやすい立地」37.3%でしたが、2位「確かな技術力・満足度」34.5%、3位「自分の髪型・肌質を理解してくれる安心感」34.3%、4位「スタッフの人柄・コミュニケーションの取りやすさ」33.2%と僅差で並んでいます〔株式会社リクルート ホットペッパービューティーアカデミー「美容サロン利用における物価高の影響調査」(公表日2026年7月31日)/解説:研究員コラム「値上げの時代、通い続けてもらう条件」(公表日2026年8月19日)〕。立地だけが突出しているわけではないため、技術と関係性を積み上げる余地はあります。
出典
- 株式会社リクルート ホットペッパービューティーアカデミー「美容サロン利用における物価高の影響調査」(調査手法:インターネットリサーチ/調査対象:全国男女20〜49歳のうち1年以内のヘアサロン利用者、またはリラク・エステ・アイ・ネイルのいずれかのサロン利用者/有効回答数:3,095人/実施期間:2026年6月5日〜6月8日/公表日:2026年7月31日)/https://hba.beauty.hotpepper.jp/search/trade/salon/s_consumption/81380/
- 同 研究員コラム「値上げの時代、通い続けてもらう条件―半数超が値上げを経験。7割超が値上げに納得する理由は?」(文責:ホットペッパービューティーアカデミー研究員 田中公子/公表日:2026年8月19日)/https://hba.beauty.hotpepper.jp/search/column/c_hair/81619/
免責・更新履歴
本記事は2026年8月26日時点で公表されている一次情報にもとづく情報提供を目的としたもので、個別のサロンの価格設定・経営判断について助言するものではありません。引用した数値は全国男女20〜49歳を対象としたインターネット調査(有効回答3,095人)の結果であり、全年齢・全国のサロンの実態を代表するものではなく、将来の来店動向や売上を保証するものでもありません。労務・税務・法務に関わる判断が伴う場合は、社会保険労務士・税理士・弁護士など該当分野の専門家にご相談ください。
更新履歴:2026年8月26日 初版公開。


