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理容室だけ市場横ばい2,958億円|20代男性が+2.6pt

理容室だけ市場横ばい2,958億円|20代男性が+2.6pt

文・構成/SALOG編集部(株式会社VOC) 公開:2026年8月31日/最終更新:2026年8月31日 運営者・編集方針について

街の理容室が減っている、という話はよく聞きます。ところが2026年上期の調査を見ると、理容室の市場規模だけが前年から縮んでいませんでした。他の美容ジャンルが軒並み減るなかで、なぜ理容室は横ばいを保てたのか。数字をたどっていくと、来店する人はたしかに減っている一方で、1回あたりの単価と通う頻度がそれを埋めていた構造が見えてきます。さらに20代男性だけが利用率を伸ばしていて、予約の仕方も変わりはじめている。これは理容室だけの話ではなく、客数が伸びない時期に美容室が何を見るべきかを考える材料になります。

この記事を3行で解説

  • 理容室の市場規模は2,958億円・前年比+0.7%で、他の美容ジャンルが縮むなか唯一の横ばいでした。
  • 男性の利用率は42.0%で前年差−2.2ポイント。それでも市場が減らなかったのは、1回あたり2,863円(+4.1%)と年間5.64回(+1.4%)が支えたからです。
  • 20代男性は利用率33.9%(+2.6ポイント)・年間利用回数+9.7%と、全年代で唯一伸びている層でした。

1. 理容室の市場規模は2,958億円、前年比+0.7%で唯一の横ばい

要点:2026年上期の理容室市場は2,958億円・前年比+0.7%。他の美容ジャンルが縮小するなかで、唯一横ばいを保ちました。

これから理容室市場の全体像について解説します。この章で見ていくのは次の2点です。

  • 1-1 市場規模は2,958億円で前年比+0.7%
  • 1-2 男性市場も女性市場も前年を下回っていない

1-1 市場規模は2,958億円で前年比+0.7%

理容室の市場規模は2,958億円、前年比+0.7%でした〔株式会社リクルート ホットペッパービューティーアカデミー「美容センサス2026年上期<理容室編>」研究員コラム(2026年8月28日公表)〕。物価高で多くの美容ジャンルが厳しさを増すなか、理容室は安定した市場を保っている、と同アカデミーは説明しています。調査本体は美容センサス2026年上期【理容室編】で公開されています。

この数字が目を引くのは、周りと比べたときです。理美容サロン市場全体は2025年度に2兆1,030億円・前年度比99.0%と5年ぶりに前年度を割っています〔株式会社矢野経済研究所「理美容サロン市場に関する調査(2026年)」プレスリリースNo.4150(2026年8月6日公表)〕。縮小が続く前提で語られることが多いテーマでした(理美容2兆1,030億円が5年ぶり減となった市場規模の記事で詳しく整理しています)。そのなかで理容室だけが横ばいだった、という位置づけになります。

1-2 男性市場も女性市場も前年を下回っていない

男女別に見ると、男性市場は2,775億円(+0.5%)、女性市場は183億円(+3.0%)でした〔同上〕。理容室市場のおよそ9割を男性が占めており、その男性市場が前年をわずかに上回っています。

女性市場は183億円と規模こそ小さいものの、伸び率は+3.0%と男性を上回りました。数字の絶対値だけを見ると小さく映りますが、伸びている方向に動いている点は押さえておきたいところです。

2. 店舗は減っているのに、市場が縮まなかった理由

要点:男性の利用率は42.0%で−2.2ポイント。減った来店を、1回2,863円(+4.1%)と年5.64回(+1.4%)が埋めていました。

これから市場が横ばいだった中身について解説します。この章で見ていくのは次の2点です。

  • 2-1 理容所は107,995施設まで減っている
  • 2-2 支えたのは単価と、通い続ける人の頻度

2-1 理容所は107,995施設まで減っている

店舗数のほうは、はっきり減っています。2024年度末時点の理容所は107,995施設で、前年度比−2,302施設(−2.1%)でした〔厚生労働省「令和6(2024)年度衛生行政報告例の概況(2025年10月21日公表)」〕。同じ統計で美容所は277,752施設・前年度比+3,682施設(+1.3%)と増えており、理容所と美容所は反対方向に動いています。

ホットペッパービューティーアカデミーは、理容所数が6年間で11万件台から10万件台へ減った背景として、理容室は高齢の事業者が多く新規参入が少ないことを挙げています〔研究員コラム(2026年8月28日公表)〕。店は減る、けれど市場は縮まない。この一見ねじれた状態が、今回の調査の出発点です。

2-2 支えたのは単価と、通い続ける人の頻度

男性の数字を3つ並べると、構造が見えてきます。利用率は42.0%で前年差−2.2ポイント、1回あたり利用金額は2,863円で前年差+112円(+4.1%)、年間利用回数は5.64回で前年差+1.4%でした〔同上〕。

男性の指標 2026年上期 前年差
利用率 42.0% −2.2ポイント
1回あたり利用金額 2,863円 +112円(+4.1%)
年間利用回数 5.64回 +1.4%

来店する人は減った。けれど通い続ける人は、むしろ回数を落としていない。そこに単価の上昇が重なって、市場全体は横ばいに着地しました。同アカデミーは、1回あたり利用金額の上昇について、物価高に伴う価格改定の影響とみるのが自然だと述べています〔同上〕。

売上を「客数×単価×頻度」で分けたとき、客数が落ちても残り2つで埋められることがある、という実データになっています。美容室側でも、縮小の主因が単価ではなく来店回数だったことを回数減を止める設計の記事で分解しています。理容室の数字は、その裏返しの形になっているわけです。

3. 20代男性だけが利用率を伸ばしている

要点:20代男性の利用率は33.9%で前年差+2.6ポイント。全年代で唯一のプラスで、年間利用回数も+9.7%と最大の伸びでした。

これから20代の動きについて解説します。この章で見ていくのは次の2点です。

  • 3-1 20代男性の利用率+2.6ポイントは全年代で唯一のプラス
  • 3-2 年間利用回数の伸びも最大

3-1 利用率+2.6ポイントは全年代で唯一のプラス

20代男性の理容室利用率は33.9%、前年差+2.6ポイントでした〔研究員コラム(2026年8月28日公表)〕。男性全体の利用率が−2.2ポイントと下がるなかで、全年代のなかで唯一のプラスです。

「若い人は美容室、年配は理容室」という前提で語られがちなテーマですが、少なくとも直近1年の変化の向きは逆でした。減っている層と増えている層がはっきり分かれている、という読み方になります。

3-2 年間利用回数の伸びも最大

年間利用回数は男性全体で+1.4%の微増でしたが、20代男性は+9.7%と最も大きく伸びました〔同上〕。利用率と回数の両方が上がっている年代は、20代だけです。

回数が増えるということは、来店の間隔が短くなっているということでもあります。フェードカットのようにシルエットが崩れやすいスタイルは、2〜3週間で整えたくなる。20代男性の伸びが「たまたま増えた」ではなく、通う理由のある伸び方をしている可能性は考えられます。ただし今回の調査は、その理由までは特定していません。

4. 20代男性の予約は、ネットに移りはじめている

要点:男性全体のネット予約は15.1%、20代男性は29.2%。「予約せず立ち寄る」文化が少しずつ変わっています。

これから予約行動の変化について解説します。この章で見ていくのは次の2点です。

  • 4-1 男性全体のネット予約は4年で約5ポイント上昇
  • 4-2 20代男性は29.2%と約3割に達した

4-1 男性全体のネット予約は4年で約5ポイント上昇

男性全体のネット予約・計(スマートフォン・携帯電話・パソコンからの予約)は15.1%で、2022年上期の10.5%から4年で約5ポイント上昇しました〔研究員コラム後編(2026年8月28日公表)〕。同じ期間に電話予約は22.1%から16.9%へ、「予約していない」は66.4%から62.7%へ下がっています。

それでも6割超が予約なしで来店している、という水準ではあります。ただ、長く「予約せず立ち寄る」文化が強かった業態で、行動そのものが動きはじめている点は見逃せません。

4-2 20代男性は29.2%と約3割に達した

ネット予約・計を年代別に見ると、20代男性は29.2%と約3割でした〔同上〕。2022年の22.0%から4年で7ポイント以上上がっており、男性全体(10.5%→15.1%で4.6ポイント増)を大きく上回る動き方をしています。

若い世代にとって、理容室の予約はネットで完結する行動になりつつある、と同アカデミーはまとめています。裏を返すと、ネット上に情報が出ていない店は、この層の選択肢に最初から入らないということでもあります。

5. 女性客とバーバーという、もう2つの広がり

要点:女性の理容室利用率は4.9%(+0.3ポイント)。メニューはカット以外が広く伸びていました。

これから20代以外の広がりについて解説します。この章で見ていくのは次の2点です。

  • 5-1 女性の利用率は4.9%、メニューは多様化している
  • 5-2 バーバーは新しい業態ではなく、見せ方の違い

5-1 女性の利用率は4.9%、メニューは多様化している

女性の理容室利用率は4.9%で、前年差+0.3ポイントでした〔研究員コラム後編(2026年8月28日公表)〕。規模は限定的ですが、じわりと広がっています。

面白いのはメニューの中身です。利用率上位8メニューのうち、前年から減ったのはカットと顔そりの2つだけ。眉カット(+4.9ポイント)、トリートメント(+4.6ポイント)、フェイスマッサージ・フェイスエステ(+4.4ポイント)、縮毛矯正・ストレートパーマ(+3.9ポイント)、ヘッドスパ・ヘアエステ・スカルプケアとカラー(ともに+3.6ポイント)と、カット以外が広く伸びています〔同上〕。顔そりは22.1%と前年から減ったものの、依然として上位です。

髪を切る場から、身だしなみ全体を整える場へ。同アカデミーはこの変化をそう表現しています。単価を上げるときに価格そのものを動かすのか、メニューの幅で動かすのかという論点にもつながる数字です。

5-2 バーバーは新しい業態ではなく、見せ方の違い

もう一つの広がりがバーバーです。ホットペッパービューティーアカデミーはバーバーを、高い理容技術に加えてオシャレな外観や内観、ファッションやカルチャーの発信など、付加価値提供の高い理容室と定義しています〔同上〕。

ここで押さえたいのは、バーバーがまったく新しい業態ではないという点です。理容室と提供できるサービスの本質は同じで、両者を分けるのはフェードカットに代表されるデザイン性の高いスタイルづくりを中心に据え、トレンド感を打ち出す姿勢。さらに空間の質、客層、カルチャーの発信力といった、数字に表れにくい要素が加わる、と説明されています〔同上〕。

技術は前からそこにあった。それをどう見せ、どう届けるかという視点が加わったときに、新しい顧客と出会えた。この整理は業態を問わず効きます。持っている技術の棚卸しではなく、伝わり方の設計に手をつけるという話だからです。

自店で確かめるなら、掲載しているスタイル写真の男女比を数えるところからです。メンズのスタイルが1割しかない状態で男性の新規が来ないのは、技術の問題ではなく掲載の問題かもしれません。同じように、フェード系やショートのメンズスタイルをメニュー表に明記しているか、指名なしで入った男性客が次に何を選べばいいか分かる状態になっているか。ここは今日中に確認できます。

6. この数字から美容室が点検できる3つのこと

要点:利用率ではなく単価×頻度で売上を見る、20代の予約経路を確認する、メニューの幅を数字で確かめる。この3つです。

これから美容室側の点検ポイントについて解説します。この章で見ていくのは次の3点です。

  • 6-1 売上を客数だけで語らない
  • 6-2 20代がどこから予約しているかを見る
  • 6-3 メニューの幅を数字で確かめる

6-1 売上を客数だけで語らない

理容室市場が横ばいを保てたのは、利用率が下がるなかで単価と頻度が上がったからでした〔研究員コラム(2026年8月28日公表)〕。同じ分解を自店に当てはめると、見る順番が変わります。

今月の売上が落ちたとき、多くの場合まず新規の数を見に行きます。けれど落ちた理由が頻度側にあるなら、新規を足しても穴は埋まりません。直近12か月の実客数・平均単価・来店回数を月次で並べて、どれが動いたのかを先に特定する。手を打つのはそのあとです。

単価を動かすこと自体は、顧客に拒まれる施策とは限りません。ヘアサロンの値上げについて「納得している」「どちらかといえば納得している」と答えた利用者は合計73.3%で、美容5ジャンル中で最も高い水準でした〔株式会社リクルート ホットペッパービューティーアカデミー「美容サロン利用における物価高の影響調査」(2026年7月31日公表)/解説:研究員コラム(2026年8月19日公表)〕。積極的な納得だけの数字ではない点は差し引く必要がありますが、値上げ=離反と決めつける前に確認しておきたい数字です(値上げの納得度を扱った記事で詳しく整理しています)。

6-2 20代がどこから予約しているかを見る

20代男性のネット予約は29.2%と、男性全体の15.1%を大きく上回っていました。予約経路が年代で割れているということは、同じ告知が全年代に同じようには届いていないということでもあります。

予約システムに年代別の流入経路が残っているなら、20代がどこから入ってきているかを一度出してみる。電話中心の店なら、その層に対しては入口が閉じている可能性があります。

6-3 メニューの幅を数字で確かめる

女性の理容室利用では、上位8メニューのうち減ったのはカットと顔そりだけで、眉カットやトリートメント、フェイスケア系が軒並み伸びていました。伸びていたのは、カットに付随して選ばれる小さなメニュー群です。

自店でも、単品の追加メニューがどれくらい選ばれているかを月次で出しておくと、単価の議論が「値上げするかしないか」の二択から離れます。選ばれていないメニューは、価格ではなく提案の場面が用意されていないだけ、ということもあります。

7. まとめ

2026年上期の理容室市場は2,958億円・前年比+0.7%で、他の美容ジャンルが縮むなか唯一の横ばいでした。店舗数は2024年度末で107,995施設まで減っているのに市場が縮まなかったのは、男性の利用率が42.0%(−2.2ポイント)と下がる一方で、1回あたり2,863円(+4.1%)、年間5.64回(+1.4%)と単価と頻度が支えたからです。20代男性は利用率33.9%(+2.6ポイント)・年間利用回数+9.7%と全年代で唯一伸び、ネット予約も29.2%と約3割に達しました。女性の利用率は4.9%で、メニューはカット以外が広く伸びています。客数が伸びない時期に売上を守る方法は、客数を追うことだけではない。この一次データは、その具体例を示しています。

関連する業界の動きは、美容室経営に効く業界動向2026にまとめています。

この記事の重要ポイント

  • 理容室市場は2,958億円・前年比+0.7%。男性市場2,775億円(+0.5%)、女性市場183億円(+3.0%)
  • 理容所は107,995施設・前年度比−2.1%、美容所は277,752施設・同+1.3%と逆方向に動いている
  • 男性の利用率42.0%(−2.2ポイント)を、1回2,863円(+4.1%)と年5.64回(+1.4%)が補った
  • 20代男性は利用率33.9%(+2.6ポイント)で全年代唯一のプラス、年間利用回数は+9.7%
  • ネット予約は男性全体15.1%に対し20代男性29.2%。予約経路が年代で割れている

8. よくある質問

Q1. 理容室の市場が横ばいなら、美容室から男性客が移っているということですか?

今回の調査は理容室側の利用実態を集計したもので、美容室から理容室への移動を測ったものではありません。わかっているのは、理容室の20代利用率が前年差+2.6ポイントと全年代で唯一プラスだったという事実までです〔美容センサス2026年上期<理容室編>研究員コラム(2026年8月28日公表)〕。移動の有無を断定できるデータではない、という前提で読むのが安全です。

Q2. 理容所と美容所の数はどう動いていますか?

2024年度末時点で理容所は107,995施設・前年度比−2,302施設(−2.1%)、美容所は277,752施設・同+3,682施設(+1.3%)です〔厚生労働省「令和6(2024)年度衛生行政報告例の概況(2025年10月21日公表)」〕。理容所は減少、美容所は増加という逆方向の動きが続いています。

Q3. 単価が上がったのは、値上げをしたからですか?

1回あたり利用金額が2,863円・前年差+112円(+4.1%)になった背景について、ホットペッパービューティーアカデミーは物価高に伴う価格改定の影響とみるのが自然だと述べています〔美容センサス2026年上期<理容室編>研究員コラム(2026年8月28日公表)〕。ただし個別のサロンがいくら値上げしたかを集計した数字ではないため、自店の判断材料としては、自店の平均単価の推移と合わせて見る必要があります。


本記事は2026年8月31日時点で公表されている一次資料にもとづいて構成しています。調査数値は出典元の定義・調査対象にもとづくものであり、個別のサロンの状況を保証するものではありません。経営判断にあたっては最新の公表資料をご確認いただき、税務・労務・法務にかかわる具体的な取り扱いについては、税理士・社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。

【更新履歴】2026年8月31日 初版公開

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